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紗姫を絶望まで苦しめた〈あの写真〉は、元夫が偽造したものだった。


(なぜ? なぜ? なぜ?)


紗姫には理由が解らない。

信也が選挙に勝つために頑張ったのに。

票を大事にしたのに。


「あ、そうか……」

一つだけ心当たりがある。


義弟の一存いちぞんで、『錦藤グループ』が『伊崎信也後援会』を退会した。


(錦藤家の後押しが無くなったから、私は必要ないんだ)


「結局、私の取柄は『錦藤家の者』というだけ。それだけ……」

紗姫の目からポロポロと涙がこぼれ落ちた。


櫻花が、白いハンカチを紗姫に渡した。

「違います。もっと大きな存在です」

「嘘です。貴女が優しいのも、私が錦藤家の者だからでしょ」

「私共は、姫だけではなく、おいえを守りたいと思っております」


「いま姫が、汚名を着せられたまま窟窟せんくつで果てると、お家が断絶します。

 戦国の世から続く 錦藤家の御当主様方に申し訳が立ちません」


『汚名を着せられたまま果てる』

この一言が紗姫に刺さった。


「そうよ。このままで終われない。私は不倫なんてしてない」


「そうだよ! そうだよ! このまま終るもんか!!」

珊瑚が和室に飛び込んできた。

後ろに伊織が立っている。

二人は写真ベッドの話が終わるまで入室を控えていた。


伊織が正座をした。困っているようだ。

「亡くなった秘書が鍵を握ってますが、御遺族が会ってくれません」

珊瑚がポンと胸を叩いた。

「じゃあ、僕に任せて。ちゃんと調べるよ」


紗姫はキッパリと言った。

「私が御遺族にお会いします」


「姫を恨んでいる可能性があります。詳細は御報告します。お待ち下さい」

「いいえ」


紗姫は決心した。

任せるだけではダメ。自分も動かなくては。

これは私の戦いだ。


「私は潜窟ここで果てる気はありません。自分で真相を究明して、汚名を雪ぎます」


外に出るのは勇気が必要だった。

帽子と眼鏡とマスクをしても、紗姫はすぐにバレる。


だったら、堂々とすればいい。


紗姫は、顔を隠さず道を歩いた。

市民が見ているが気にしない。

不正は何一つしていない。

必ず雪辱を果たしてみせる。


紗姫は、亡くなった秘書の実家を訪ねた。


衝撃の真実が待っていた。

議員の妻は 夫の不正を暴いて復讐する

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