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後日
「そこのお姉さん」
「はい…?」
「はじめましてー」
「君があいつの惚れ込んでる彼女さん?」
「えっと、」
突然話しかけてきたのは彼の友人と名乗る人
彼はちょうど離れていて、確認の取りようがなく本当に友人ならと無下にもできなかった
「いやーずっと君に会わせてくれって言ってるのに、あいつなかなか首を縦に振らなくてさー」
「二人で並んで歩いてるとこ見かけたから声かけちゃった」
「は、はぁ」
彼と違ってグイグイくるタイプで本当に友人か疑わしく思い始めた時、この人気になる話をした
「いやーあいつ大学じゃ有名だし、そのそばにいる俺も大体の女の子は知ってんだけど、初めて見る顔だからそうだと思ったんだよ」
「ま、あいつが一緒に外歩いてる時点で確定か」
「え、彼有名なんですか…?」
勝手に自己完結してる事も気になるけど
それ以上に彼が大学で有名だなんて聞いたことがなかった
私と彼は違う大学に通っている
駅も離れているので彼から聞く情報以外はほとんど入ってこない
「あれ、知らない?」
「容姿の良い奴が好きな人に振り向いて貰えない寂しさを抱えて待っているってうちじゃ有名な話だ」
「どう…いうこと…?」
「…なんも知らねぇのな」
「あいつが言うわけもないか」
言われてる事がいまいち理解出来ず疑問顔でいると
「彼女さんさぁ、あいつのことなんだと思ってんの?」
「誰か1人を思い続けんのに、そんな綺麗なままじゃいられねぇんだよ」
そう耳元でぼそりと言われた
その言葉の意味を考えてると彼が戻ってきた
「お前っなんでここにいる!?」
「あははははは」
「いやーたまたま見かけてさ?」
さっきまでと違い、最初に話しかけられた時と同じ軽い声で彼の問いに答えていた
「お前が会わせてくれないから仕方なく…って痛い痛い」
「変な事言われてないよな?」
「言ってないよひどいなー」
「ねぇ?」
「うん、大丈夫」
ニコニコした顔の裏に何を考えているのかよくわからない人
私はそう答えるしかなかった
「じゃ、俺はお邪魔みたいなんで」
「この手、離してもらえる?」
「もう近づくなよ」
「えー」
「近づくな」
「俺に構ってていいの?」
「クソッ」
「それじゃ俺は退散ー」
「彼女さんもまたねー」
彼が掴んでいた手を離すと友人と名乗った人は颯爽と走り去っていった
あの人に言われた言葉の意味も気になるけど今はそれより…
「ふふ」
「なに?」
「友達とだとあんな感じなんだと思って」
「いや、あいつが特別変なだけだから」
「邪魔が入ったけどデート再開ってことで行こうか」
「うん」
こうして私は彼のことをまた一つと知る
今まで目を向けてこなかった分
彼のことを見たいと、知りたいと思っている
まだ知らない事ばかりだけど、そうすれば私自身も都合のいい人として、彼を利用し知らぬ間に傷つけてきたことを、いつか許して貰える気がして