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さとみver
俺は、日本の中から普通の人間として生きる
AIを選別するために生まれたロボット。
政府が”おかしい”と感じた人物を数名のロボットが見つけ出し、お世話係となのに、
AIなのか 区別をする。
そして、そうではなかった場合。
相手を壊す。
ターゲットに会い、AIかそうではないか判し行動すれば、より 優秀な脳を与えられる。
金が貰える。
そして今回、調査対象として浮上したのが――“莉犬”。
あのグループが解散したあと、あいつは消息をたった。
社長も。
メンバーも。
後輩も。
友達も。
リスナーも。
暴露系You〇uberも。
誰もが彼の詳細を知らない。
どこで生きているのか。
そもそも、生きているのか。
彼を知るものは誰一人としていなかった。
そんな中、街で見かけた人影を何となくおってみれば探していた彼だった。
俺はAIだと名乗り。
お世話係だという。
もちろん相手は、要らないと言った。
そんなものは予想済み。
そりゃあそうだろう。
名前も知らない、得体の知れないAIなんかに
心を開いてくれるわけが無い。
でも、そんなことで挫けてしまう自分ではないから。
しつこく、何度も何度もこいつに擦り寄った。
莉犬が嫌だと思うこと。
何度だってそれをわざと口にした。
わざと踏み込めば、こいつはわかりやすいほどに反応する。
やはりそれは、莉犬にとっとトラウマになっているもので、一番に触れられたくないところ。
メンバーを馬鹿にすれば怒る。
メンバーの揚げ足を取れば顔を真っ赤にする。
メンバーといっても、元メンバーだが…。
元メンバー……とはいえ、あいつにとっては
まだ“メンバー”なんだろう。
まぁ、プライドというものなのだろう。
人間は無駄に意地を張る生き物だから。
_馬鹿らしい。
莉犬は、俺がどれだけ接触しても距離を置き続ける。
ただ、観察して分かったことが一つある。
――こいつは、雨に弱い。
あの日、突然目の前で崩れ落ちるようにしゃがみ込み、
顔色も、呼吸も、動作も極端に不安定になった。
最初は、ただの体調不良かと思った。
だが、違う。
雨粒が衣服に触れ始めた瞬間。
機械特有の“誤作動”の兆候が明確に出ていた。
震え。
発熱。
視界のフォーカスが合わない。
呼吸のリズムが乱れる。
人間なら“風邪”や“過呼吸”にしか見えない反応だ。
だが、俺にはそれが――
AIが外部環境によって故障する前兆だと踏んだ。
きっと、政府の検索リストに載った理由も
これなのだろう。
人間と完全に区別できないAI。
しかし、わずかな環境変化で誤作動を起こす。
俺は任務として手を伸ばす。
さとみ「立てるか」
返事はなかった。
ただ、かすれて、しゃがれた声だけ。
莉犬「……さむ……」
寒いわけじゃない。
内部温度が暴走しているだけだ。
人間だったら気づけない。
いや、人間しかいない世界なら誰も疑わない。
だからこそ、俺は腕を掴んで引き上げた。
さとみ「……動くな。勝手に歩くと壊れる」
莉犬は俺を睨んだ。
“壊れる”なんて言葉に反応したのだろう。
意味までは理解していないはずだ。
あいつは自分が何なのかまだ知らない。
だが、それでいい。
そのままでいい。
それが俺の任務だから。
俺は強制的に莉犬の腕を使んで歩こうとする。
目的はただ一つ。
――この個体が“人間”なのか“AI”なのか。
確実に見極める。
そして、政府に報告する。
それだけだ。
るぅと「ちょ、ちょっと待ってください!」
さとみ「邪魔するな」
るぅと「邪魔ってなんですか、邪魔って…ッ」
るぅと「何も言わずに行くなんて」
るぅと「おかしいじゃないですか」
るぅと「僕に何も教えてくれないんですか?」
さとみ「お前に関係ない」
るぅと「関係ありまくりです」
るぅと「僕は莉犬の相方なんです。」
るぅと「莉犬のことならなんでも分かります」
嘘つけ。
人間かAIなのかも知らないのに。
こいつの何を知ってるという。
るぅと「それにあなたAIですよね?」
るぅと「なんでも出来るんじゃないんですか」
るぅと「それともただのポンコツAIですか?」
確かに俺はAIだが。
俺の目的はそれじゃない。
莉犬「ねぇ、俺治るんだよね…?」
莉犬「人間…なんだよね?」
莉犬「俺は…AIなんかじゃないよね…?」
莉犬は胸を押さえて、苦しそうに浅い呼吸を繰り返していた。
熱で赤くなった頬。汗ばむこめかみ。
それでも瞳だけは、不安を隠すように強がろうとしている。
莉犬「……さとみくん……」
莉犬「俺……生きたい……」
莉犬「俺……消えたく、ない……」
涙が頬を伝った感触がした。
るぅと「ねぇ、何してるんですか!? 」
るぅと「なんとかして下さいよ!!
るぅと「お願いですッ!!」
俺はゆっくり莉犬の胸に手を当てた。
さとみ「……強制再起動を試す。」
さとみ「ただし……成功率は“4%”。」
その時、莉犬の身体がかすかに光った。
——ビィィッ……
嫌な音だ。
“最後の音”に近い。
俺は静かに言った。
さとみ「……莉犬。」
「お前は……俺の判断を超えた“異常値”だ。」
そう呟いて、
俺は莉犬の胸の奥へ手を伸ばした。
次の瞬間——
莉犬の記憶データが、“勝手に再生”を始めた。
モニターも機械もないのに。
空間ごと揺れるように“映像が流れ始める”。
それが……
“本当の莉犬”の記憶かどうか、
誰にも分からない。