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#R15
(株)姫神V
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結局、私とミキちゃんのデートの最中に、主人公・朝倉翔太は現れなかった。 じゃあ、デートの後に何かが起こるのかと思ったら、特に何も起こらない。ミキちゃんの好感度数値は、上がりも下がりもせず、現状維持。つまり、私とデートしたことで、朝倉くんとの関係に、何か変化があった訳じゃない。
だったら、何が原因なのか。考えても分からない。
考えて分からないなら、検証するしかない。
どうやって検証するかと言うと、前に桜子ちゃんが消えた時と同じように、こっそり尾行するのだ。
それで、どういうパターンの時に消えるのか、消えないのか、その条件を調べていく。
問題は、誰を尾行するかなんだけど。
桜子ちゃんは、前に尾行したから、ひとまず今回は後回し。
さやかちゃんは、空手仕込みの勘で、尾行してる私の存在に気づきそうだから、やめとこう。
マヤちゃんは警戒心薄そうだけど、車で迎えに来てもらうから、そもそも尾行が出来ない。
となると、ミキちゃんか、このみちゃんだけど………ミキちゃんは、私が好きすぎて気配を察知してくるんじゃないかという気がする。実際どうかは知らないけど。
となると、このみちゃんか。
このみちゃんなら、例え気づかれたとしても『情報屋として、情報収集をいたしております』とでも言えば、笑って許してくれそうだし。
********
という訳で、放課後。
都合の良い事に、さやかちゃんは朝倉くんと一緒に帰り、ミキちゃんは兄のケンジロウが迎えに来て、一緒に帰っていった。
検証には、もってこいのタイミングだ。
このみちゃんに、何もイベントが起こらないなら、因果関係が分かりやすい。何かイベントが起きたなら、それはそれで参考になる。
このみちゃんが、校舎から出るのを見計らって、後をつける。
付かず離れず、一定の距離を保ちながら、物陰に隠れたりしながら、こっそりとついていく。
気分は探偵、あるいはストーカー。
下手したら、お巡りさんに見咎められかねないけど、その時は友達とおふざけをしてたとでも言って、誤魔化そう。
そうこうしてるうちに、描画範囲の境目、学校から500メートルあたりに差し掛かった。
私の予想が正しければ、このみちゃんの姿は、ここで消えるはず。
(あっ!)
案の定、このみちゃんは描画範囲外の境界を越えた途端、越えた部分から消えていく。多分、どこでもドアに入る人を傍から眺めたら、こんな感じなんだろうな。
物陰から出て、このみちゃんが消えた辺りを確認するけど、なんにもない。
このみちゃんが消えた境界に、私が行っても、何も起こらない。桜子ちゃんの時と同じだ。
よし、これで検証の第一段階は終わり。それじゃ、帰るとしますか。
「あ、佐伯さん」
「うえっ!?」
踵を返した途端、後ろから声をかけられて、変な声が出てしまった。
後ろを振り向くと、今しがた消えたはずの、このみちゃんが立っている。
その位置は、描画範囲の境目から、更に進んだ位置。あのまま歩いてたら、だいたいその位置にいたであろう位置だ。
「ん? どうしたの、そんなに驚いて」
「い……いえ、特に何もございません」
このみちゃんからしてみれば、本当に何も無い。帰り道で、たまたま友達を見かけたから、声をかけただけなのだ。
「そう? あ、もしかして、情報収集?」
「おや、バレてしまいましたか。いかにも、情報屋として、色々調べておりました」
「うふふ、わざわざ後をつけなくても、聞けば教えてあげるのに」
なんとか誤魔化せた。というか、このみちゃんが上手い具合に、勘違いしてくれたから、助かった。
「申し訳ありませんが、これが性分なものでして」
「そうなんだ、ふふふ」
このみちゃんは、面白そうに微笑んでいる。友達が、面白い事をしてる、くらいの感覚だろうか。
「バレてしまったので、本日はこれにて退散させていただきます」
「うん、またねー」
私は、このみちゃんに会釈をして、その場から去った。
なんとかこの場は誤魔化せたけど、法則はますます分からなくなってしまった。
イベントが無いヒロインは、姿が消えてしまう。ここまではいい。
だけど、一度消えたこのみちゃんが、また現れた理由が分からない。
私と会った事がイベント? いや、そんな訳は無いよなぁ。
だって私はモブだし。モブ娘とヒロインが会った所で、イベントになんてなりようが無いもん。