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「…よし、昼食もとったことだし、勝負を再開するぞ!!」

「え、まって…水鉄砲、もう一回やるの?そんな体力ないんだけど」

水鉄砲に水を入れ、それを砂浜で日向ぼっこしている寧々に向かって勢い良く発射した。

「ひゃっ!?は、はああ!?!強制参加なの!?」

寧々は怒った勢いでオレに向かって走ってきた。

「…なんだ。走る元気はあるようだな!せっかくなら、動けなくなるくらいまで疲れようじゃないか!!」

鬼のような形相で追いかけてくる寧々から必死で逃げた。小学生くらいの小さな子供がオレ達のことを見ている気がするが、そんなこと気にせずに思いっきり楽しんだ。

類とえむも、そんなオレ達につられてはっちゃける。最高に楽しい瞬間だった。


結局、数十分もしたらみんな疲れ果ててしまったので、日陰で少し休む事にした。

日陰で涼んでいると、オレのスマホが光ったような気がした。

「…じゃっじゃーん!ミクだよ〜〜☆」

急にスマホから飛び出てきたので、オレ含む4人はすごく驚いた。

「えっへへ!ボクもいるよ!」

「どわっ!?ミクにレン!来てくれたのか?」

「うんっ!だって司くん、遅いんだもーーんっ!!」

「司くん達、海で遊んでたんでしょ?楽しかった?!」

子供のように駄々をこねるミク。レンもいつもの調子で安心した。オレの感情がセカイに影響するらしいので、ミク達は元気にしているのかと心配だったのだ。

まあ、オレが悪いんだけどな

「ああ!楽しかったぞ!!今はみんな疲れきって休憩してるんだが──」

「あたしは元気ハツラツわんだほいだよ!!」

「は?」

なんだか嫌な予感がした。

「よーっし!!!みんな!海に飛び込めわんだほーい☆」

えむはそう言って、一人海に飛び込んだ。それに続いて 類も海に向かって走っていった。

「…あれ、司くんと寧々ちゃんはいかないの〜?」

ミクは不思議そうにこちらを見る。

「…わたしたちは、いいかな」

寧々も、あんな二人に突っ込む余裕すらなさそうだった。

目を合わせて苦笑いする。このやりとりすらも、愛おしく思えてくる今日だった。


「…それでは、着替え終わったらここに集合だ!」

あっという間に夕方になり、海水浴に来ていたカップルや家族もぞろぞろ帰り始めている頃だった。

えむは元気に返事し、寧々と類は適当に返事をする。みんなが更衣室に向かったのを確認し、トイレに行こうと方向を変える──、方向を変えた、その時だった。

「…っ……あ、すいません」

中年の男と肩がぶつかった。男はすぐ謝ってくれたし、悪い人ではなさそうだった。だが、

「(あの背格好、あの顔つき、あのピアス……)」

見覚えがありすぎた。オレの事を無理やり犯して、穢して…オレのすべてを奪いやがった、あの。

「…!!(いや、違う、そんなわけない。だって、だって。まだ5年しか経ってない。アイツは、まだ戻ってきてないはず。)」

声も違うし、アイツみたいにヤニ臭くない。なら、人違いじゃないか。

「(そう。人違い。)」

でも──。

「(…やっぱり、怖い…!!!)」

過去のトラウマには逆らえず、オレは小さく「ごめんなさい」とだけ言い捨てて、多目的トイレに駆け込んだ。

男は驚いた様子だったが、今は申し訳無さを感じている暇はなかった。だって、また襲われるかもしれないと思ったから。

「…もう二度と、あんな思いは…絶対、したくないな」


「今日は楽しかったね!」

「うん。また来たいな」

蒸し暑い更衣室。えむはまだ体力が有り余っていそうだった。

「…よし、着替え終わったし、出ようか。」

「うんっ!」


更衣室を出た瞬間、強い風が吹く。

「…あれ。」

「おお、寧々にえむ。早かったな」

司は明らかに疲れている顔をしていた。

「うん。……類は?」

「まだ着替えてるはずだ。」

「そうなんだね!」

………

………

………

遅い。

男にしては厚着だったけど、そんなに時間かかるものなのかな。ってくらいに遅い。こんな待ってるのに全然来ないということは、何か理由があるはず。

「……あ」

「…ねえ司。」

「む、なんだ!」

わたしが名前を呼ぶと、司は元気に返事をした。そんな司に頼みごとをしたら、きっと「オレに任せろ」と張り切ってくれるだろう。

だから、わたしは言った。

「 類の様子、見に行ってあげてくれない?」

と。

「…………は?」

司はピタリと硬直した。

えむは不思議そうな顔で司の方を見ている。そんなえむと司の目があった瞬間、司は何か憑依したように「何でもない」と言い出した。

何でもないわけ、なさそうだったけど。

「…っじゃあ、行ってくる、!」

司は類のいる更衣室に入っていった。同時にその出入り口からは、たくさん男性が出入りしている。

その手は、微かに震えていたような気がした。





夏だ、海だ、オレは思春期の男子高校生だ──!

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コメント

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ングゴェッァッ(鳴き声Part2) 折角楽しい思いして、暖かい時間過ごしてるのにふとした瞬間蘇るトラウマの記憶なぁ。。。😆😆😆 おや神代の様子が…? 何があったんだ、襲わ、おそ、おそそそそ?!?!?!(興奮気味) 厚着なのは何でだろう、傷跡?露出が嫌?何にせよトキメキが止まらない🥰 天馬ーー‼️‼️(呼び止める声)(やっぱり送り出す様子) 言葉交わせよPart2‼️

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