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銀世界を後にした矢太郎たちはその後警察本部に報告に向かったりがけに何やら高そうな背広を着た初老の男性が声をかけて来た。「君は確か、記憶をなくした探偵かな?そしてお隣は最近腕を上げている刑事さんだね?」
初老の男性は警察機関のお偉いさんらしい、ご丁寧に名刺を差し出して朝桐 京太郎と紺色の字で印刷されていた。名刺を見ていると興味深いと言わんばかりの顔でこちらを覗いていた、「君はどこでその能力を」
核心を突く発言に一瞬警戒した。その表情を見て口角が少し上がった様に感じた、探りを入れられた矢太郎はこちらも探らせてもらうと言わんばかりに話した。「それをおっしゃるということはあなたがそうだからということですよね?」
相手方は少し眉をひそめたがすぐに笑い飛ばした。
何やら気に入られたようだ、笑いながら肩を軽く叩くと「また明日には会うだろうから」
と手を振りながら歩いて行った。その後仙四郎に問い詰められた、能力のことを重点的に。矢太郎の持つ能力を聞いた仙四郎は唇を痛い程噛みしめ肩を震わせていた、重い空気がながれた。重い空気のまま明日を迎えた、仙四郎は昨日のことは何も無いかのように接していた。矢太郎も何も聞かない様にしていた、二人の中で先日の京太郎の発言が引っ掛かっていた。朝食を摂り身支度をしていると、仙四郎に呼び出しが来た。矢太郎も共に行くことになり急いで支度し家を飛び出した、現場には人集りがすでに出来て警察がそれを押さえるのに必死だった。人混みをかき分け、なんとか入ったと思った矢先、聞き覚えのある声に呼び止められた。京太郎だ、後を付いて回っていた矢太郎にこの現場の状況を推理させた。現場は立派な洋風建築のお屋敷、メイドが数十人もいる大富豪。子供に恵まれずメイドの何人かは養子縁組した子供らしい。どうやらこの家の主人(袖北 創志)が絞殺れたようだ、おかしなことに絞殺の痕跡があるのに凶器も首を絞めた跡もないらしい。第一発見者はメイドの一人、(以下寿恵子と表記します)が「私は旦那様のお部屋でお目覚めに合わせてカーテンを開けるのが決まりごとでそれをしようとして、まさか旦那様が…」
話をしている最中に泣き崩れてしまった。他のメイドから話を聞くと寿恵子さんは創志さんに拾われ、メイドながら娘の様に可愛がってもらっていたらしい。そこに怒鳴りながら割り込んで来た人物がいた、高そうな着物姿でやつれた女性だ。メイドたちは奥様!と頭を下げ一歩後退りした、奥様と呼ばれた方は美紗蘭、創志さんの正妻にあたる人物だ。美紗蘭はメイドに近くと方を抱いて告げた「大丈夫です、寿恵子私はあなたの母です。旦那様が居なくても私が屋敷の皆を守ります、だからお願い私の横で支えておくれ。」
そこに屈強な男性が駆け寄り肩を支えながら二人を椅子に座らせた。
矢太郎は不思議に感じた、金魚が三人の周りを回る。いつもなら朱色の金魚が犯人に回るはず、矢太郎は考えた。容疑者と思われるのは間違い無くこの三人、だが動機が無いように見える。矢太郎が思考を巡らせていると、京太郎が肩に触れた。「同じ太郎同士だから答え合わせをしよう。」
犯人は屈強な男性、ボディーガード だろう。実行したのは彼だが命令したのは美紗蘭だな、そう仕向けたのはメイドかな。最近、生命保険加入者が増えたらしい。君ならこれでわかるだろう?矢太郎ははっとした、予想だと多額の保険金をかけるよう、寿恵子が創志に促した。そうすれば創志がいつ死んでも愛する妻が暮らしに困らないと、その事を美紗蘭に告げ、今創志を殺してしまえば遺産に上乗せして保険金まで貰える。だが、自分達の手を汚したくない。だからボディーガードに頼った、粗方創志を殺してくれれば遺産の一部を譲渡するとかだろう。凶器も痕跡もないのはボディーガードが後ろから腕を回し首を絞めたのだろう。あの屈強な腕ならちょうど頸動脈が絞まる。
その事を京太郎と共に仙四郎に説明し、事件は解決した。
矢太郎はまだ考えていた、なぜ父の様に慕っていたのに殺したのかを。
帰る際、京太郎に尋ねた、「貴方の能力はなんですか?」
京太郎は笑って答えた、「明日の出来事が全てわかる能力」
矢太郎は納得せざる終えなかった。