みゆが探偵事務所を訪れた数日後——
弘人が出勤するために支度していると、みゆが起きてきた。

「おはよう。もう会社行くの？」
「うん。あっ、今日は接待で帰りが遅くなる。先に寝てていいからね」

そう言いながら、弘人はビジネスバッグを手に取る。

「わかった。お仕事頑張ってね」
「ありがとう。じゃあ、行ってきます」

みゆの『いってらっしゃい』の声を聞きながら、弘人は家を出た。
自宅から一歩外に出るだけで、みゆから解放される気持ちになり、弘人の心はホッと落ち着く。
その時、ふと数日前の出来事を思い出した。

（それにしても、アレは何だったんだろう…？）

数日前、弘人が風呂に入っている間に、みゆは弘人のスマホの中身を見ようとしていた。
パスコードを定＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊

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