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◆仕事終わり・送迎車の中(目黒視点)
車内は暗く、疲れたメンバーが寝息を立てていた。
目黒は窓の外をぼんやり見ながら、
昨夜の佐久間の言葉を反芻していた。
――蓮の全部、俺が触れていい?
思い出すだけで、胸がざわめく。
すると、隣からそっと指が触れてきた。
佐久間の手。
メンバーやスタッフがいるのに、
その指は静かに、でも確実に目黒の指を探して絡んでくる。
「……っ、やめ……」
囁くと、佐久間は目を細めて笑った。
声は出さず、唇だけで言う。
“嫌なの?”
――嫌じゃない。
むしろ、困るほど、求めてしまう。
でも今は仕事中だ。
佐久間は繋いだ指を、
布の下でゆっくり絡め直した。
完全に――“見えないところで俺のもの”を主張する触れ方。
⸻
部屋に戻ってすぐ、スマホが震えた。
【さっきの、可愛かった。】
佐久間からのメッセージ。
【何が】
【指。隠れて触られると弱いの?】
鼓動が早くなる。
返信に迷っていると、すぐに電話がかかってきた。
「蓮、早く電話出ないとそっち行くよ?」
低い声。
本気で来る気だった。
佐久間は息を少し弾ませた声で囁いた。
「……ねぇ。今日、俺以外の誰が蓮に触った?」
「え?」
「誰か、蓮の肩に触ってたでしょ。
リハのとき。あれ……やだ」
一瞬の記憶。
衣装直しでスタッフの女性に肩を押された瞬間だ。
(……見てたのか)
「仕事だよ。ただの……」
「仕事でも嫌」
断言する声音に、背中がぞくりとした。
「俺以外に触られたって思うと……
胸のここ、すっごい痛くなる」
と、電話越しに胸を押さえる音がした。
執着。
でも、それが怖くなかった。
むしろ――
自分のためにこんな顔をする佐久間が、愛おしいとすら思えた。