テラーノベル
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俺には愛する妻と息子がいる。
妻とは大学のゼミで出会い、交際を経て結婚し、かれこれ15年の仲だ。
ただ病棟の配置換えで救急救命担当の医師になってからコミュニケーションのすれ違いが多くなり喧嘩が増えてしまっている。
イライラを妻へとぶつけてしまっているのも問題だ。
「最近は熱中症で搬送される方が増えましたね。こうも毎日暑いと仕方ないですけど」
近くの看護師たちの談笑が耳に入る。今日の午前中だけで4人も熱中症で搬送されてきた。
(配置換えが無ければ保育園の遠足、俺も行けたのに。山、登りたいなぁ)
ふと耽(ふけ)る。登山部時代に山頂で食べる飯の旨さを思いだしていた。
暑さのせいか体調が悪いせいか食欲がわかない。
しかし食べなければ午後の職務に支障がでるのと、喧嘩中でも毎日弁当を作ってくれる妻を思うと残せない。
今日の弁当は、おにぎり、からあげ、卵焼き、たこさんウインナー、野菜。
いつもより量が少ない。体調を気遣ってくれたのかな。
急に病棟内があわただしくなる。
「先生!近くの山で園児たちの集団食中毒がおきました!至急きてください」
サイレンの音が近づいている。
運ばれてきた園児たちの身体検査や胃洗浄等の医療措置。やれることは全てやった。
俺は看護師たちへその後の指示をし医療器具を持って病室へと向かう。
空を夕日が照らしていた。ウワンウワン。病院へサイレンがまた近づいてくる。
コメント
1件
ああ、第1話拝読しました。医者でありながら父親であり夫である主人公の視点がすごくリアルで、冒頭の「登山部時代に山頂で食べる飯」の回想にじんときました。喧嘩中でも弁当を作り続ける妻への想いも温かい。最後の園児食中毒→新たなサイレンという流れで一気に緊迫感が高まったところで終わるのが上手いですね。次がすごく気になります!
#不審者
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