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深夜2時。
市川市郊外の廃工場の前に、山科、日下部、高木の三人が集まった。
錆びた鉄扉には、何かの文字がかすれて残っている。
「ここが、呼ばれた場所か……」山科がつぶやく。
中に入ると、薄暗い空間に大量の機械と資料が散乱していた。
壁にはパンダのDNA解析図や遺伝子組み換えの設計図が貼られている。
「これが博士の研究室の裏側か……」日下部が言った。
高木は震える手で一冊のファイルを取り出す。
「これには、博士が隠していた真実が書かれている。
このプロジェクトは、単に動物の強化だけではない。
“人間の遺伝子を動物に組み込む”ことで、 新たな生命体を生み出そうとしていた――」
突然、背後で金属音が鳴った。
三人が振り返ると、暗闇から黒川博士が現れた。
「君たちには話していなかったが、この計画は未来のための希望だ。
動物と人間の融合が、新たな進化の鍵を握っているんだ」
博士は冷たい目でそう言った。
「だが、その“希望”の犠牲になるのは、メイリンだけじゃない。
動物園にいる他の動物たちも……」
山科は拳を握りしめた。
「止めなければならない。
これは科学の暴走だ」
博士は不敵な笑みを浮かべる。
「そう思うなら、試してみるがいい」
次回:第8話「市川の夜に走る影」
逃げるメイリン、迫る追手。市川の街は再び騒然となる――。