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#TL
瀬名 紫陽花
14,533
#BL
多 動 症 .
30
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「やっぱり、さっちゃんって警戒心が無いね」
叶人くんの手が、ドンッ!と私の頭の横の壁を叩いた。
いわゆる壁ドン。
至近距離で、彼の熱い息がかかる。
「佐藤に狙われてたらどうするの?」
彼の視線がじりじりと肌を焼くようで、私は慌てて首を振った。
「そ、そんなわけないでしょ……!ただ仲良い後輩とご飯行くだけだよ?」
だが、叶人くんはまったく納得しない様子で、さらに顔を近づけてくる。その目は完全に据わっていた。
「ただのご飯、ね。でもそれ、世間一般ではデートって言うんだよ。もしかしてそれも『経験』にするつもり?」
「違っ、私はそんな───」
「そういうの……俺だけじゃダメ?」
「…えっ」
叶人くんはまっすぐに私を見据えたまま、低く静かな声で言った。
「さっちゃんが他の男に言い寄られてるの見るの、幾ら俺でも我慢できない」
普段の冷静さを保とうとする声音は微かに震えている。
次の瞬間、叶人くんの顔が強引に傾き、私の唇を塞いだ。
「んんっ……!かな、とくん……ここ、会社…っ、ん、ふ、ぅ……っ♡」
「ごめん。……少しだけ、充電させて」
「んん…っ、ん、はぁ……」
引き剥がそうとする私の抵抗なんて無視して
唇の隙間から容赦なく侵入してきた彼の熱い舌に翻弄される。
深く貪るようなキスに、私の頭は一瞬で真っ白になり
身体の力が抜けて彼にすがりつくことしかできなくなる。
ようやく彼の唇が優しく私の唇を舐め上げて離れていったとき
私は壁に背を預けてへたり込みそうになっていた。
「叶人くん…っ、もうお昼休み、終わっちゃうよ……」
「…っと、そうだね」
叶人くんは一転して満足そうな、いつもの甘い微笑みを浮かべて、そっと私の乱れた髪を指先で整えてくれた。
「さっちゃん。今日の夜、空けておいて」
「えっ、夜?」
叶人くんは私の耳元に唇を寄せると、ゾクッとするような低い小声で囁いた。
「明日の佐藤とのデートの前に…マーキングしておきたいから」
「へっ…?ま、マーキングって……」
「さっちゃんを、俺に抱かせてってこと」
「えっ!?それって…」
「言葉通りの意味だよ」
叶人くんはニコリと完璧なスパダリスキルを発揮した笑顔のまま
私の額にそっと深いキスを落とした。
「俺がどれだけさっちゃんのこと想ってるか、その身体にちゃんと教え込んであげる」
「ま、待って!そんな急に決められても…心の準備とか……っ!」
「大丈夫、初めては優しくするから。…帰りにコンビニ寄って行こうね」
「う、ぅ……は、はい…っ」
コンビニで何を買うのかなんて、今の私でも分かる。
まだ唇に生々しい火照りと彼の味が残ったまま
私は真っ赤になって小さく頷くことしかできなかった。