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#TL
瀬名 紫陽花
14,533
#BL
多 動 症 .
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その日の定時後───
私は叶人くんに連れられて、最寄りのコンビニの店内にいた。
彼の一歩後ろをついて行くと、彼は入店するなり、迷いなく奥の衛生用品コーナーへと真っ直ぐに向かっていく。
そこで彼は、周囲の目など全く気に留める様子もなく
〝女性に優しい〟というキャッチコピーが躍る、XLサイズのコンドームに手を伸ばした。
「これしかないか…最後の一点で良かった」
パッケージを手に取り
あまりにも涼しい顔でレジに向かおうとする彼の姿に、私はただただ呆然とするしかなかった。
(最後の一点で良かった、じゃないよ……!)
パッケージにデカデカと印刷された『XL』という二文字。
そして、それを一切の躊躇いもなく買い物カゴへと投入した叶人くんの、男らしい横顔。
両者を見比べた瞬間、私の心臓はうるさいほど激しく跳ね上がった。
(こ、こういうのって、普通はスタンダードサイズじゃないの…?通常サイズじゃ、入らないってこと……?)
これまで本を読み漁って必死に仕入れた「恋愛心理学」の知識のどこを探しても
こんな未曾有の状況を切り抜けるためのフレーズなんて載っていなかった。
幼馴染の叶人くんだから、きっと優しくしてくれるはず───
なんて淡い安心感は、目の前に突きつけられた圧倒的な『雄』の証明を前にして
一瞬でどこかへ消え去ってしまった。
「……さっちゃん?どうしたの、顔真っ赤だけど」
私の尋常じゃない動揺を察したのか、叶人くんが歩みを止めて顔を覗き込んできた。
その瞳は、さっきまでオフィスで見せていた完璧な営業スマイルとは明らかに違っていた。
獲物をじっくりと追い詰めるような、低くて、ひどく色っぽい温度を孕んでいる。
「な、なんでもない!ちょっと、棚の商品の文字が目に入って……っ」
慌てて目を泳がせる私に、叶人くんはカゴを持ったまま
さらに一歩、じりりと距離を詰めてきた。
周囲に他のお客さんがいないのを素早く確かめるように視線を走らせると
彼は私の耳元にそっと顔を寄せ、微かに声を潜めて囁いた。
「……サイズ、びっくりさせちゃったかな。ごめんね」
「~~っ、だ、誰もそんなこと聞いてないっ……!」
心臓の音が、もはや店内に流れるBGMよりも大きく聞こえてきそうなほど激しく爆音を立てる。
羞恥で沸騰しそうな頬をさらに赤くしながら
必死に顔を背けようとするが
叶人くんはわざとらしいほど優しい声音で、意地悪に畳み掛けてきた。
「にしても、さっきからずっとこの箱見て顔を赤らめてたけど?」
「ち、違うから……!からかわないで…っ」