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【裕二のターン】
BBQとはお肉を焼く調理方法の一種であり、Barbequeをアルファベットに置き換えて略したものである。
ちなみにアメリカでは大きな塊肉をじっくりと焼いて食べるが、ここ日本では焼き肉に近いスタイルである。
なんてうんちくを語ってみるが、おいしくて楽しければ由来や調理方法はあまり重要ではないのである。
ゆめと2人で向かうのはキャンプ場である。ここは事前に予約をしておくとコンロや炭を用意してくれ、さらには到着前に連絡すると火までつけてくれる。肉や野菜など焼く物を持っていけば到着と同時に肉を焼き始めることができる至れり尽くせりのしせつなのだ。
もちろん予約時に肉を買って予約したりもできるが、今回は肉と野菜は持参。おにぎりと飲み物は予約注文という形を取った。
お肉屋さんで2人でキャッキャッ言いながら肉を選び、スーパーで野菜を並んで選んできたので運ぶだけだ。準備が必要なおにぎりや持ち運びが大変な飲み物は到着先に行けば準備してある。我ながらなんて完璧な計画だろう。
これはゆめも「ひろくんすご~い」と思ってくれているに違いない。
そんなことを思いながら電車に揺られる俺は隣に座るゆめを見る。俺の視線に気がついたのか、ふと横を見て俺と目が合うと頬を緩めて、にぱぁ~っと笑う。
めちゃくち可愛い。
動きやすい服装ってことで日頃スカートが多いゆめだが、今日はサロペット姿に黒色のリボンがポイントのカンカン帽とのコーデ。これが最高に可愛い!
「どうかした?」
俺がガン見してしまったので不安そうにゆめがたずねてくる。
「あ、いやぁ~えっと……可愛いなって見てた」
適当にごまかしてしまおうとも思ったが、嘘をついても仕方ない。俺は素直に思ったことを包み隠さず言葉にする。
ゆめはキョトンと目を丸くして驚いたあと、少し間があって顔が真っ赤になる。効果音をつけるならポンっといった感じで頭から煙が出そうなほど一瞬で真っ赤になってしまう。
「は、は……はははっ、えっと、うん……はすかしぃっ!」
真っ赤な顔のままどうしていいのか分からないといった様子でオロオロしたのち、両手で顔を押さえてうずくまってしまう
なんと可愛らしい反応だろう。これが見られただけでも今日という一日が最高なのは間違いない。
幸せをかみしめながら俺は恥ずかしがるゆめと一緒に、電車に揺られ目的地へと向かう。
電車から降りてバスに乗り換えキャンプ場の手前で降りる。そんなに距離はなく舗装もされているが傾斜を歩くゆめが辛そうに見えたので声をかける。
「疲れてない? 荷物持つよ」
「ううん、大丈夫! ひろくんの方が材料運んでくれているし、大変なんだから」
ゆめが笑顔で元気に答える。
「日頃事務仕事だからたまには動かないとっ」
「そっかそっか。でも無理はしないで。いつでも荷物持つし休憩したかったら言ってよ」
「うん、ありがとう」
ぱあっと、はじけんばかりの笑顔を見せるゆめが可愛すぎて、直視できずにおもわず顔を反らしてしまう。
そのまま目的地へと向かって歩く道すがらほんの少しだけ無言の時間ができる。いつもと違って静かなことが気になって、チラッと隣を見るとゆめがもじもじとしているのに気づく。
カゴのトートバッグを持っていない手をふらふらさせては、自分の掌を見たりしてどこか落ち着かない様子。見つめていた掌からふっと俺を見たゆめは視線に気づきハッとした顔で見上げる。
目が合うと顔を真っ赤にして下を向いてしまったゆめに俺はそっと手を伸ばす。
「えっと……手……つなぐ? あ、いや、つなぎたいなぁって」
ゆめが思っていることと合っているかは分からないけど、もしも違ったとしても手をつなげれば俺が嬉しいので提案することは無駄にはならない。
「手⁉」
驚いたゆめが自分の手と俺の手を交互に見てぱあっと花が咲きそうな表情を見せたかと思うと、再び自分の手を見てしゅんと小さくなる。高低差の激しい表情の切り替わりが見ていて面白いし可愛い。
「手……」
ゆめが手を伸ばしてくるので、つないでいいと解釈した俺も手を伸ばす。もう少しでお互いの手が触れるといったところでゆめが慌てて手を引く。やっぱり嫌だったのかなと不安が過る。
「あっ! ち、違うの。嫌とかじゃなくて、つなぎたい……えっとね……」
突然の行動に驚いた俺の顔を見ながらゆめの声が小さくなる。
「手がその……汗かいてるから……」
ゆめが小さな声で理由を説明する。その理由が拒絶ではなかったことにホッとした俺は再び手を伸ばす。
「気にしないよ。今日は暖かいし汗かくのは普通だと思うけど。それに俺がゆめと手をつなぎたいなって思ってるんだけど、ダメかな?」
「い……いいよ……」
おどおどしつつも手を伸ばしたゆめだが、すぐに手を引っ込めると自分の服で手を拭いてから恥ずかしそうに手を広げる。その行動が可愛いと思いながらゆめの手にそっと触れ、優しくを心掛けて握る。
「えへへへ」
心から嬉しいってこんな顔なんだろうなって笑顔を見せてくれるゆめに、自分の頬や耳が熱くなるのを感じる。
「行こうか」
「うん」
こうして手をつないだ俺たちはBBQをするためキャンプ場のある場所までの道を歩く。険しい勾配の坂も2人一緒なら楽しく登れるってものだ。
5分くらいで到着したけど実に幸せな時間だった。もっと一緒に歩きたかったくらいだ。
#ほのぼの