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私が桜木家にやってきてから、涼香姉さんが泣いたことも、4人で笑い合ったことも……初めてのことだった。
本当に長い時間がかかってしまったけれど、私の求めていた「家族」の形に大きく近づいたと思う。
すごく……嬉しい。
心が踊るようなこの気持ち、一生忘れたくない。
その後、お父さんとお母さんは、私達を2人きりにしてくれた。
「姉さん、ごめんね」
「な、何が?」
「……いろいろ」
「私は別に何も変わらないわよ。家族なんて……めんどくさい」
そう言う涼香姉さんの顔は、いつもとは全然違って見える。
言葉とは合っていない。
姉さんは……ようやく変わろうとしてくれているんだ。このまま少しずつ、少しずつ、お互いが歩み寄っていけたら……
きっといつかは心が通じ合える。
「涼香姉さん、絶対に幸せになってね。私、どこにいても、いつだって、ずっとずっと姉さんのことを応援してるから」
「お、応援なんてしてもらわなくて結構よ。私は、あなたよりもずっとずっと幸せになる。必ずね」
「うん、そうだよね。だって、姉さんはこんなにも美人で素敵な女性なんだから」
「や、やめてよ。本当に……変な子なんだから。でも……」
「ん?」
「が、外国なんて、慣れないところなんだから、き、気をつけて行きなさいよね。危ないこととか多そうだし……向こうはみんな拳銃とか持ってるんでしょ?」
「大丈夫だよ、私の暮らす場所は安全だから。そこまで心配しなくていいからね。でも……すごく嬉しいよ。ありがとうね、行ってくるね」
涼香姉さんの本当の優しさ、ひとつ見つけた。
まだまだ知らないことがたくさんあるんだろう。
これからもっと、涼香姉さんのことを知っていきたい。
いやだ……
涙が止まらない。
嬉し涙って、どうやって止めるんだっけ……
とりあえず、庭に出て深呼吸してみる。
そのまま空を見上げたら、そこには雲ひとつない青い空が広がっていた。陽の光が、晴れ晴れとした私の心に優しく降り注ぐ。
お父さん、お母さん……涼香姉さん。
太陽は、私達の人生を平等に明るく照らしてくれている。
だから、みんなきっと……幸せになれる。
桜木家をずっと見守ってきた桜の木も、上手く交われなかった家族の再出発を、誰よりも祝福してくれている……そんな気がしてならなかった。