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【能力者名】口裏痛見

【能力名】 とてもいたいいたがりたい

《タイプ:友好型》

【能力】  声をかけた相手にタイマンバトルを強制する能力、及び痛みを感じる度に身体と精神を回復する能力。

《備考》戦うことと辛いものが大好き。


【以下、細菌達の記録】


《放課後、米津町の公園にて。》


「勝負じゃんねぇ!!!口裏痛見ィィ!!!! この《バカバカラ》で勝った方が相手のお願いを何でも一つ聞く。一回のみの真剣勝負じゃんねぇ!!!」


黒尾場じゃんねはそう言って自らのスマホを

見せつけた。


「おまえも懲りねぇなぁじゃんねぇ!!??

また俺に負けに来たのかぁ!!??いいぜ、お前が負けたら《命辛々》の激辛担々麺を完食してもらおうかぁ!!!!」


勝負が大好きな口裏痛見はノリノリでこの

勝負を受けた。


(あそこの担々麺死ぬほど辛いって噂じゃんねぇ!!???この戦い、絶対に負けるわけにはいかないじゃんねぇ!!!!)


黒尾場じゃんねはこれまで 口裏痛見に何度も勝負を挑みその度コテンパンにやられてきた。


全ては口裏痛見を油断させるため。


この勝負で痛見に勝ち、痛見を《クローバー同盟》の仲間に加えるためである。


運命をかけた《バカバカラ》が今、スタートした。


【バカバカラのルール(※読み飛ばしてOK)】


一、プレイヤーは40枚の山札の内好きな数のカードを引き、手札、あるいは盾ゾーンに

分けることが出来る(山札がゼロ枚になった時点で負け。)


二、プレイヤーはお互いに一ターンにつき

山札からカードを一枚ドローでき、一ターンに一度山ゾーンにカードを置くことができる。 そして山ゾーンのカードをタップすることでそのコストに応じたモンスターを召還したり呪文を唱えることができる。


三、モンスターで盾ゾーンのカードを全て割り、プレイヤーにダイレクトアタックすれば

勝ち。


【他にも色々ルールはあるけどこれさえ抑えればOK。】


「よっしゃぁ!!!僕が先行じゃんねぇ!!!」


黒尾場じゃんねは山札を10枚残し盾ゾーンに カードを3枚置いて残りの27枚を手札にした。


「はっ!!!先行ぐらいくれてやらぁ!!!」


口裏痛見は山札を5枚残し、なんと盾ゾーンに何も置かずに35枚を手札にしてしまった。


「へぇ?盾を置かないなんて随分挑発的じゃんねぇ?僕のデッキが速攻デッキなら即死じゃんねよぉ?」


じゃんねの煽りに痛見はまるで動じてなかった。


(痛見…..すごい自信じゃんねぇ?ここは

このカードで相手の作戦を読むじゃんねぇ。)


「僕のターン!!ドロー!!僕は山ゾーンにカードを一枚おき、コストを支払い《先読みフクロウ•ハヤミミノサオリヌシ》を召還するじゃんねぇ!!!サオリヌシの召還時効果!!このモンスターが出たとき、相手の手札を全て見ることができる!!!」


ハヤミミノサオリヌシはパタパタ羽ばたき目を光らせた。


すると痛見の手札が明らかとなった。


(……なるほど、思った通り《無心のバルザルド》デッキじゃんねぇ。しかも速攻魔法もいくつか入っている。速攻対策はバッチリってことじゃんねぇ?)


痛見の切り札は《無心の魔王バルザルド》というとてつもなく強力なモンスターであった。


「ハヤミミノサオリヌシは出たターンアタックできないからターン終了じゃんねぇ!!!」


じゃんねはそう言ってスマホ画面のターン終了ボタンを押した。


次は痛見のターンである。


「俺のターン!!!ドロー!!!」


痛見は山札からカードを引いた。


そして、


「《特権解放》!!!!!!」


と叫び自らの胸を手で貫き自らの心臓を抜き取った。


じゃんねは目を見開いて驚いた。


そして自らのまだビクンビクンと動く心臓をぐしゃりと握りつぶした。


《バカバカラ》はどっかのテロリストが能力者達をブチギレさせるために作った純然たるクソゲーである。


当然、能力の使用は認められている。


痛見は自らの能力で身体を再生させた後に

こう言った。


「自分の心臓を握りつぶしたことで《特権》を発動するぜぇ!!!俺はこのターン、手札から好きなだけカードを山ゾーンに置くことが出来る!!!! そして俺は大量の山ゾーンのカードをコストにして《無心の魔王バルザルド》を三体召還!!!!!」


ずぅぅぅぅんととてつもなく巨大でおそろしいモンスターが痛見の手札から現れた。


痛見の切り札、《無心の魔王バルザルド》である。


「はぁッッ!!?????ずるすぎじゃんねふざけんなじゃんねぇ!!!!!!!!!!!」


じゃんねはぶちギレた振りをした。


ここまで、じゃんねの読み通りであった。


じゃんねは痛見が《特権》を使って糞コンボをしかけてくることを読んでいた。


「バルザルドの効果発動!!!相手の手札を全てトラッシュゾーンに捨てさせることができる!!! !じゃんねの手札を全て破壊だぁ!!!この時相手はカードの効果を使えない!!!!」


「はぁっ!!???ふっざけるなじゃんねぇ!!!!」


じゃんねの20枚以上あった手札が全て捨てられた。


「更にバルザルドがいるかぎり 相手モンスターはアタックができずバルザルドは決して場を離れない!!!!!どうだじゃんねぇ!!!!降参するなら今の内だぜぇ!!!!!」


一体出せばほぼ勝ちが決まるカードバルザルドを三体も出しながら痛見はどや顔でターン終了ボタンを押した。


《特権》で心臓を自ら破壊した者はそのターンアタックができない。


そのためじゃんねは一ターン生き延びることができた。


じゃんねの手札はゼロ、相手の場には最強のカードが三体。


じゃんねは冷や汗をかいた。


じゃんねは呻いた。


呻いて呻いて呻いて……そしてにやりと

笑った。


じゃんねは公園で高笑いをした。


じゃんねは遊戯王でも見たことがないほどのゲス顔をしながら叫んだ。


「僕のターン!!!ドロー!!自分の墓地にカードが二十枚以上ある時 、《特権解放》!!!!僕は盾ゾーンのカードを全てトラッシュし、このターン攻撃ができなくなるかわりに墓地から《禁忌のリュカ》をコストを支払わずに召還できる!!!!」


じゃんねは盾ゾーンのカードを全て捨てて

小さな男の子のような、燃え盛るモンスターを召還した。


《特権》は、能力者だけのものではない。


「何ぃ!!??」


痛見は驚いた。


「それじゃあお前は…..俺がバルザルドデッキを使うことを読んでいたのか!!???」


そう言って痛見は叫んだ。


「あッたりまえじゃんねぇぇぇ!!!!」


と黒尾場じゃんねは叫び、


(ま、痛見のデッキを読んだのは転々だけどね。)


と、心の中で舌を出した。


《クローバー同盟》の参謀、かしこい可愛い転々ちゃんは、何度もじゃんねを痛見と戦わせることでデータをとり、痛見の性格を的確に読んだ。


そして《バカバカラ》の知識が豊富なじゃんねが転々の読みを元に対痛見のためのデッキを作り上げた。


この勝負、《クローバー同盟》の作戦勝ちである。


「《禁忌のリュカ》の能力発動!!!!!お互いの

場と山ゾーンのカードを全て破壊するぅぅ!!!

全てを燃やせぇッッ!!!!リュカァァァァァ!!!!!!」


じゃんねの切り札、リュカはじゃんねの場の

ちっちゃいフクロウのモンスターを焼き尽くし、痛見の山ゾーンのカードを全て焼き払った。


「……くっ!!!だがバルザルドは相手モンスターの効果を受けないし破壊されない!!!!それにじゃんねはこのターンアタックができない!!!!次のターンバルザルドで殴って俺の勝ちだぁぁぁ!!!!」


「何勘違いしてるじゃんね?」


「あぁ!!!???」


「僕のターンはまだ終了してないじゃんねぇ

!!!!」


そう言ってじゃんねは墓地からじゃんねの真の切り札を召還した。


「相手のトラッシュゾーンの数が30枚以上の時、墓地から《おそうじミモリン》を特殊召還できる!!!!!行け!!!僕の切り札!!!!おそうじミモリン!!!!!」


燃え盛るフィールドから光が集まり、乳牛と

白龍と美少女のキメラのような可愛らしいモンスターがじゃんねの場に現れた。


「ミモリンの効果発動!!!!お互いのトラッシュゾーンのカードを全て山札に戻す!!!!そして、この時戻したカードの数が50枚以上なら、僕はこのゲームに特殊勝利することができる!!!」


ミモリンはその召還条件•及び特殊勝利の条件の厳しさから一部のコアなバカバカラーしか使わないロマンカード扱いされていた。


故に痛見はミモリンというカードを全く警戒していなかった。


「なんだって!!????今何枚戻した!!???」


痛見は混乱しながら言った。


「すでに50枚は越えているッッ!!!!この勝負、

僕の勝ちじゃんねぇぇぇ!!!!!!」


パァァァァッッと温かい光が口裏痛見を包んだ。


痛見のスマホの画面にYou Lose.と表示され、じゃんねのスマホの画面にYou win.と

表示された。


この勝負、じゃんね達《クローバー同盟》の勝ちである。


「くそっ……特殊勝利…..か……殴るだけが

バカバカラじゃないんだな……俺の負けだ。

…..何でも言うことを聞いてやる…..。」


何故か汗をダラダラ流しながら痛見は言った。


実を言うと痛見には勝ち筋があった。


痛見は バルザルドでじゃんねの手札を全て破壊しなければリュカの召還条件を満たせずじゃんねは普通に負けていた。


バルザルドの効果は任意効果であり、手札をすべて破壊しなくてもいいからである。


痛見の敗因はプレミであり、そのプレミはじゃんね達が痛見を完全に油断させ、手の内を悟らせなかったために起こった必然的なプレミであった。


じゃんねは負けた相手を煽りたい欲を必死に抑えながらこう言った。


「今度の悪鬼退治ロカ•バッティングで僕達の盾になってほしいじゃんね。ロカ先生に勝つために、そしてこの戦いで怪我人を出さないために、お前の力が必要じゃんね。」


そう言って黒尾場じゃんねは痛見に手を差しのべた。


「…..わかった。男に二言はねぇ。だがロカ先生は死ぬほどつえぇぞ。俺がいたって勝負にすらならねぇと思うぜ?」


何度もロカ先生に挑み、その度に負けてきた男、痛見はそう言ってじゃんねの手を取った。


交渉成立である。


「…….問題ないじゃんね。こっちには転々の考えた作戦があるじゃんね。」


「ふぅん、まぁいいぜ。それより腹減ったし

担々麺食いにいこうぜ!!!俺が奢るからよぉ!!!!」


「ひょ?」


こうして痛見を仲間に加えた黒尾場じゃんねは《命辛々》の激辛担々麺を食べて無事に死にかけた。


「かっっっら!!!??なんでじゃんねぇ??????僕勝ったはずじゃんねぇ??????」


彼ら《クローバー同盟》の暗躍はまだまだ続く。


(最後まで読んでくださりありがとうございます。)





BioTOPE ~超能力たちの日常観察記録~

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