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~アクアマリノ 中心街路地裏~
進とマリーを尾行してきた男たちは、早々に進に気配を察知される。
転移石でも逃走不可能の状況に陥り、絶体絶命のピンチを迎えていた。
「マリー!フラムさんのいる宿に先に戻って、戦闘の準備をするように伝令を頼めるかな?」
「えっ!?はい分かりましたけど、ススムさんは大丈夫ですか?」
「向こうは3人もいるし、暗殺者なんですよね?」
マリーは進のことを心配するが、相手の戦意は既に喪失していることを進は感じ取っていた。
恐らくマリーにはまだそこら辺の経験値が足りていないのであろう。
相手の微妙な様子の変化から相手の心境を感じ取るようなことはできないように思えた。
まぁそこは追々教えていけばいいかと進は一人で思っていた。
「オレの方は大丈夫だ」
「それより伝令を頼む、今日中にこいつ等の親玉、神殿騎士に強襲を仕掛けるとフラムさんに言っておいてほしい」
「今日中ですか?」
「ああ、相手さんはこいつ等の失敗に気付いたらまた刺客を送り込んでくる可能性が高い」
「今度はさらに強いかもしれないから、先にこちらから仕掛けようと思う」
「分かりました!フラムさんに伝えてきます!」
とそう言い、マリーはベネットさんの宿屋の方へ駆け出していった。
これから行うことはマリーには見せない方がいいとそう判断したため、マリーをベネットさんの宿屋に返したのであった。
「ここからマリーがベネットさんの宿屋に戻ってフラムさんにさっきのことを伝えるまで25分と言ったところか…それまでにこいつ等の依頼主の居場所を吐かせないとな」
そう言って進は男たちの元へと一歩一歩近づいて行った。
男たちは動揺し、足が震えており、誰一人動けないでいた。
「な、なぁ兄ちゃん!オレたちを見逃しちゃくれねぇか?」
「こ、コイツには養うための妻がいるんだ、この商売は金になる!」
男は仲間の肩をポンと叩き、アピールをする。
「それにオレだって、5歳になる娘がいる!病気なんだ!それを治療するためには金が要る!」
男たちは必死になって命乞いを始める。
「妻がいる?娘がいる?養うため?病気の治療のため?」
「そのためだったら、全くの赤の他人を傷つけていいのか?」
「全くの赤の他人を犯していいのか?」
「全くの赤の他人を殺してもいいのか?」
進は男たちに近づくにつれ、質問を投げかけていく。
「ふざけるなよ…!」
「自分たちさえ良ければそれでいいのか!!」
進は男たちに対して怒りを露わにする。
ひぃぃと男たちは悲鳴にも似た叫びをあげる。
だ、ダメだ…どう攻撃してもこの男には、効かない―――
と男たちは進との実力差を感じ、倒すことができないと悟り、その場に崩れ落ちる。
「た、助けてくれよ…!」
「た、頼むから!もう誰も傷つけないし、犯さない、殺しもしない」
「神に誓うから!!」
男たちは懇願するが、既に進は自身の懐の剣を抜き、男たちの両腕を男たちには察知することのできない速度で切断していた。
男たちは一瞬自分の腕が切られているとは認知することができていなかった。
「ぎゃああああ!!」
男たちは痛みから悶え苦しみ、地面を転げまわる。
「オレから聞きたいことはただ一つだ!」
「お前たちの依頼主、神殿騎士はどこにいる?」
まるで、ゴミを見る様な目で、進は男たちに問いかける。
「そ、それだけは言えねえ!例え、両腕が斬られようとも!」
「神殿騎士を敵に回したらそれこそこの国全体を敵に回すようなものだ!」
「確実に一族は皆殺しにされる!」
男たちは口々にそう言う。
「そうか…」
「白魔法:エクストラヒール!」
進は治癒の白魔法を男たちに掛ける。その効果は切断されたハズの腕が元に戻っていた。
「な、何だ!それは…」
「まさか治癒の白魔法、聖女様しか使えないはずじゃ…」
「あ、あんたは一体何者なんだ…?」
「何だ聞いていないのか?」
「白魔法を使える少年としか聞いていないぞ」
「ま、まさか治癒の白魔法まで使えるなんて、しかも体の欠損を戻すなんてそんな魔法伝説でしか聞いたことがない。」
男たちの顔からは既に血の気が完全に引いていた。
「そうか、ならここで見たことは口外してもらっても困るな―――」
そう言い、今度は一瞬の内に男たちの両足を切断した。
「ぎやああああ!」
また、男たちの悲鳴があがる。
「どうして、両腕を元に戻した!!」
男は進にそう聞いた。
「オレもこの世界に当初は傷を治すくらいで、体の欠損を戻すなんて出来なかったが、つい先日ある男に敗けて起きたらできるようになっていた。」
「そして、今その効力を試すためにお前たちで実験をしているってわけだ。」
「じ、実験だと!?」
この男想像以上にヤバい…男たちはそう思い、胴体だけで這いずり進に背を向け、逃げようとする。
勿論逃げれるわけないのは分かっていたが、それでもそうせずにはいられなかった。
進の行動に狂気を感じ、身の毛の震えが止まることはなかった。
「おいおい、その足で逃げるのか」
進は呆れたようにそう言う。
「せっかく逃げるなら、元に戻してやるよ」
「白魔法:エクストラヒール!」
再び、男たちの両足を元に戻した。
男たちは一目散にその場を逃げようとしたが、進がそれを許すはずはなく、進の剣圧によって今度は男たちの”胴体”を真っ二つにした。男たちの血液と内臓が宙を舞い、ボトボトと血の雨が降り、その場に散乱した。
「も、もう助けてくれ!」
「分かった!言うから依頼主の場所を言う!だから助けてくれ!」
返り血を全身に浴びている進は、その男たちの言葉に聞いて満面の笑みを浮かべていた。
「白魔法:エクストラヒール!」
再び、男たちの体を元に戻す。
「た、助けてくれるのか!?」
男たちは進に縋りつく。その男たちの腕を手に取り握り返した。
男たちはもう許してくれたのだと、内心安堵したが、その返答は男たちの予想を裏切った。
「切断した場合でも、元に戻るなら今度は骨を粉々に砕いてみよう…」
「えッ!?」
男たちは、三人とも声を合わせて発した。
次の瞬間、握られた進の拳は物凄い力で握りしめられゴキゴキ鈍い音を立て、男の腕の骨粉々に砕いていった。