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ゆんしょ
815
250
絶対辰哉
598
#めめこじ
junp
21
旅館へ着いて一時間。
荷物を置き、浴衣に着替えた二人は温泉街を歩いていた。
────────
💜side
「空気うまっ」
思わず大きく伸びをする。
都内では感じられない静けさ。
風が木々を揺らす音まで聞こえてくる。
💛「ふっか」
💜「ん?」
💛「あそこ」
照が指差した先には、小さな饅頭屋。
店先から湯気が立ちのぼっていた。
💜「食べる?」
💛「せっかくだし」
二人で暖簾をくぐる。
「いらっしゃい」
店主のおばあさんが笑顔で迎えてくれた。
「旅行?」
💜「そんな感じです」
「仲いいねぇ」
ふっかは照と目を合わせる。
少しだけ笑って頷いた。
💜「ありがとうございます」
今回は否定しなかった。
恋人役。
その一言を思い出したから。
────────
💛side
店を出ると、ふっかが饅頭を頬張る。
💜「熱っ」
💛「言ったじゃん」
💜「でも出来たて食べたいじゃん」
ふっかが口を押さえて笑う。
照もつられて笑ってしまう。
すると。
「すみませーん!」
後ろからスタッフが駆け寄ってきた。
「一つお願いがあるんですが」
💜「はい」
「これから三十分だけ」
「僕たちは距離を取ります」
💛「距離?」
「はい」
「二人だけで歩いてください」
💜「カメラは?」
スタッフは少し離れた電柱を指差した。
「望遠で撮ります」
「話しかけません」
「指示もしません」
「本当に自由です」
言うだけ言って、スタッフは離れていった。
────────
最初の五分。
会話が減った。
💜「……」
💛「……」
周りにスタッフがいないだけで。
急に静かになる。
ふっかが苦笑する。
💜「なんか変」
💛「分かる」
💜「いつもスタッフさんいるから」
💛「慣れちゃったのかも」
そこからは少しずつ普段の会話に戻っていく。
仕事の話。
最近ハマっているゲーム。
トレーニング。
他愛もない話ばかり。
────────
しばらく歩くと、小さな神社が見えた。
💜「寄ってく?」
💛「いいよ」
石段を上がる。
境内には二人しかいない。
ふっかがおみくじを見つける。
💜「引こうよ」
💛「運試し?」
💜「こういうのはノリ」
二人で一本ずつ引く。
💜「あ」
💛「どうだった?」
ふっかは紙を見つめたまま固まる。
末吉。
恋愛。
『焦らず時を待て。真心は必ず届く。』
💜「……」
妙に引っかかる言葉だった。
「照は?」
照も紙を見ている。
💛「吉」
💜「何て書いてある?」
照は少し笑った。
💛「努力は実る」
💜「照らしいじゃん」
💛「恋愛も書いてある」
💜「へぇ」
💛「『大切な縁を見落とすな』」
その言葉に。
二人とも一瞬だけ黙った。
偶然。
ただのおみくじ。
なのに。
妙に胸へ残る。
────────
旅館へ戻る途中。
夕日が山の向こうへ沈み始めていた。
💜「きれいだな」
💛「うん」
ふっかは立ち止まり、景色を眺める。
照も隣へ並ぶ。
何も話さない。
でも、不思議と気まずくはなかった。
その時。
後ろからスタッフが戻ってきた。
「ありがとうございました!」
「今の三十分、とても良かったです」
監督もモニターを見ながら頷く。
「お二人とも、演技を忘れていましたよね」
💜「え?」
「途中から、撮影していることを気にしていなかったでしょう?」
ふっかは照を見る。
確かに。
神社へ行った頃には、カメラのことなんて頭になかった。
監督は続ける。
「次は夕食です」
「少しだけ難しいシーンになります」
💛「難しい?」
監督は笑いながら台本代わりのメモを渡した。
そこには一文だけ。
『相手に、普段は言わないことを一つ伝えてください。』
ふっかは思わず照を見る。
照も同じようにメモを見つめていた。
普段は言わないこと。
それが演技なのか、本音なのか。
二人にも、まだ分からなかった。
コメント
2件
おみくじがいい味出してる〜
もう第7話、めっちゃエモかった〜〜😭💕 スタッフさんが離れてからの静けさ、あの「慣れちゃったかも」って会話、めちゃわかる…。神社のおみくじで「真心は必ず届く」「大切な縁を見落とすな」って、もう二人にしか見えんくて胸熱すぎた!! 夕日眺めるシーンも、何も話さなくて気まずくないって距離感、尊い…そして最後の「普段言わないこと伝えて」からの次回、ドキドキが止まらんよ🌸 絶対辰哉さん、続き気になりすぎます!!