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KIKU@ペア画中
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まあ
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「柚月先生…手、繋いでもいいですか…?」
「はい…」
僕たちが数ヶ月後こんなことになるなんて知る由もなかった。
「う〜ん、この計画だと緊急時の対応がちょっと…鈴木先生の方も。ここの担当は二人に任せるから丁寧にね。できれば今日中に提出して欲しいんだけどお願いしてもいいですか?」そう山田先生に修学旅行の計画について厳しく指摘され、今日中に修正案の作成を余儀なくされた僕たちは気まずい雰囲気の中、面談室に入った。お互いに向き合って座り、抱えていた書類をドサッとおき、それらをバラバラと撒き散らした。千葉先生の綺麗な手が触れそうで僕の心臓はドクンドクンと高鳴っている。そんな僕とは対照的に面談室には無機質な紙の音と微かなアルコールの匂いがする。そんな中黙々と作業を続け、どちらが先に話しかけるか、お互いに様子を窺っていると、千葉先生が重い口を開いた。
「あの…いつまで残りますか?あんまりにも遅いとちょっとアレですし…」
「19時半ごろに帰ろうかなと…」少し気まずい雰囲気は和らいだものの心の距離は相変わらない。
数十分後…「鈴木先生、資料できましたか?」
「はい、写真送りたいのですが…その…どうやって送れば…Teamsじゃ送れなくて」
「じゃあLINEでおねがいします。」
千葉先生が差し出したQRコードを震えながら読み取ると「千葉柚月」の文字が写しだされ、僕の胸がギュッと締め付けられ、心臓が高鳴った。
僕はこの時点でもうすでに恋に落ちていた。気まずくたって関係ない。あの耽美な横顔と生徒と楽しそうにはしゃぐ茶目っ気のある笑顔に心奪われていた。
僕は仕事が終わった後、液晶と睨めっこしながらメッセージを書いては消してを繰り返していたものの、勇気を出して送信ボタンを押した。
「お疲れ様です。今度どなたか先生を引き連れてでもご飯でもどうですか?」
すぐに既読がついた。
「ぜひお願いします!悠太先生とか宮崎先生誘っておきますね!」
「お願いします!」
返事は意外にも好調だった。きっと柚月先生もいいことあったんだなと微笑ましく思いつつ、この昂る気持ちを抑えて今夜は眠りにつくことにした。
数日後…
自分の携帯に一本の連絡が入る。
「すみません、健斗先生。今日の飲み会風邪ひいちゃって出られないです。本当に申し訳ないです。あと、宮崎先生も急用が入ってしまったみたいで…」
悠太先生からだった。午後に早退していたのでまさかとは思ったがそのまさかだった。
待ち合わせ場所にトボトボ向かい千葉先生と落ち合った。
「すみません。悠太先生と宮崎先生今日お休みみたいですね。」
「そうなんですか!?」
「なので結局は二人になってしまうんですけどいいですか?」
「はい。もちろんです!」
僕たちは世間話を交えながら大衆居酒屋とは少し程遠いような品のある居酒屋に入った。
賑やかだがどこか下品ではない笑い声が飛び交う中僕たちはテーブル席に座った。店内には焼き鳥のいい匂いが充満しており思わず食欲がそそられる。
自分自身お酒はあまり得意じゃないが今日は金曜日だし、疲れているのでたまには調子に乗ってハイボールを頼んだ。
「じゃあ、1週間お疲れ様ってことで乾杯!」
「乾杯〜」
カシオレを美味しそうに飲む千葉先生はなんとも言えないオーラを纏っていて、いつも子供っぽい千葉先生がお酒を飲んでいるというギャップ萌えの事実が僕の胸を締め付ける
「今日、鈴木先生c組の子たちから調理実習のクッキー貰ってませんでしたか笑?私も貰ったんですけど美味しかったですよね!」
「あぁ!すごい美味しかったですたくさん貰ったのでまだカバンの奥に潰れないように保管されてますよ笑、最近の調理実習はこんなことするんですね!僕の頃なんか豚汁だった記憶です笑」
「私たちが子供の頃はもっとなんか質素なもの作ってきましたよね〜!」
お互いにお酒が回って来た頃、千葉先生の顔がほんのり熱っていて余計にテンションが高ぶる。しかし、千葉先生の楽しそうな無邪気な声がだんだんと遠くなり始め心地よい浮遊感に包まれる。そして、気がついた時にはもう____
目が覚めるとなんも変哲のない家のベッドで眠っていた。焦ってLINEを見ると柚月先生からの心配のLINEが来ていた
「おはようございます。鈴木先生、大丈夫ですか?昨日ひどく酔っていて自分で帰れるとおっしゃっていたんですけど無事に帰れましたか?」
「それと、昨日の鈴木先生すごく面白かったです笑笑!終始意味わからない話をしていてずっと笑っていました☺️面白かったのでまた今度飲みに行きませんか?」
僕はただ茫然とした。やってしまった。好きな先輩の目の前でこんな失礼をしてしまうなんて、穴があったらすぐにでも入りたい気分だ。
僕は大焦りしながら急いで謝罪の連絡をした。打つ途中に何回も誤タップしまくるミスもあったがなんとか謝罪文を完成して急いで送った。
「昨夜は申し訳ございません。本当にご迷惑をおかけました。本当によろしければぜひまたご飯、ご一緒したいです。以後、お酒は飲みません。」
メッセージを送ったと同時に“嫌われたらどうしよう”“今後避けられたらどうしよう”など不安と、もう過去は変えられない絶望感を感じてベットに力無く横たわった。
部屋の静寂が余計に僕の耳に突き刺ささり、思わず身震いする。
早く既読がついてほしい気持ちとでも繋いでほしいという矛盾した気持ちが僕の心を掻き乱していた。
数時間後…
スマホがピコンと音を立てて震えた。僕は急いでスマホを手に取り長押しで既読をつけないようにメッセージを確認した。
「いえいえ、こちらもカオスで楽しかったです!もう一回お酒、飲んでくれてもいいんですよ?笑笑」
反応は意外にも肯定的だった。酔った自分が何をしていたのか気になるところだがとりあえず失礼をしていなかったようで安心した。それと同時に安堵感を感じたのか体と力がフッと抜けてベットに寄りかかる。でも、心の中で“ヤバい人の印象がついてしまったらどうしよう”などと不安を感じていた…
次の日…
雲ひとつない青空。今日も外体育暑そうだななんてことを考えながら校門をくぐり抜けていたところ、その先のスロープで千葉先生と遭遇してしまった。その瞬間、心臓が止まるかと思った。
「お…おはようございます!この間は本当に失礼しました!」
「いえいえ!お世辞とかじゃなくて本当に面白かったですよ。」
「僕何話してました?」
「なんか『僕リスが好きなんですけど、国に頑張ってお願いしたら飼えたりしないですかね〜』とか!支離滅裂で面白かったです!」
「……本当に顔から火が出そうです。」
千葉先生は目を細めながら、声を出して笑い始めた。
「鈴木先生……」
千葉先生は自分の目をじっと見つめながら、先ほどまでの賑やかな雰囲気からガラッと一変させ、耳元で小声で囁いてきた。
「もう一回、二人きりでご飯行きませんか?」
「…はい、お願いします」
思わず喉から搾り出したような声が出てしまった。手足が震え気持ちが最高潮に昂っている。きっと顔は耳まで真っ赤になっているに違いない。後ろを歩いている高校生に気づかれそうで怖かったがなんとかバレずに済んだようだ…
それから、千葉先生とは何回もご飯を重ねてタメ口で話せるくらいには仲良くなれた。それと同時に僕の気持ちはもう爆発しそうだった。大好きだった先輩とこんなお近づきになれて告白しない以外の選択肢はあるだろうか。しかし、学校では指一本も触れられないのがめちゃくちゃに悔しかった。学校ではお互いによそよそしく、すれ違ったら軽く会釈をするくらい。なんとか生徒にバレないように毎日必死だ。この女子校で先生同士がプライベートで密会しているなんて知られたらもう一巻の終わりだ。
そしてついに迎えた修学旅行…
昼は生徒と共に平和学習をしたり楽しく観光したりして充実した日だった。月の光が夜プールの水面に反射しキラキラと光る夜。生徒が就寝したであろう夜中の0時に柚月先生を外に呼び出した。
「どうしたの…こんな夜遅くに…?」
柚月先生の髪の毛が月の光に反射してあまりにも美しく思わず息を呑んだ。
僕は勇気を出して震える声でこう告げた。
「柚月先生…手、繋いでもいいですか…?」
「はい…」
柚月先生の小さくて温かい手が僕の手のひらに感じられた。その愛おしい手を離せまいと僕はグッと力を込めて握る。柚月先生は少し恥ずかしそうに微笑みながら月を見上げていた。
その耽美な横顔を見て、僕は覚悟を決めて重たい口を開いた。
「柚月先生…出会った時からずっと好きでした。今後の人生、僕の隣でずっと笑ってくれますか…?」
「はい…喜んで…!私も健斗先生のこと、ずっと大好きでした…!」
「ハグ…してもいいですか?」
「はい…!」
今度は柚月先生の体温を全身に感じられた。
大好きな人が自分の腕の中にいるなんてこんなに幸せなことはないだろう。
きっとこの秘密は守ってみせる。たとえ相手が恋焦がれる学校の女子中高生だとしても。柚月先生の手の温もりがあればどんなことも乗り越えられるような気がした。
コメント
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わあ、素敵な第1話でしたね…!「数ヶ月後こんなことになるなんて知る由もなかった」で始まる冒頭がもう胸を掴まれました。高校の先生同士の密室感と、飲み会でのぎこちない距離感、酔っ払って支離滅裂な話をしてしまう鈴木先生の不器用さにめっちゃ共感しました(笑)カシオレを美味しそうに飲むギャップ萌え描写もグッときます。最後の修学旅行の夜、告白シーンで冒頭が回収される構成が綺麗で、読後感がとても温かいです。続きが待ち遠しいですね!