妄想部屋

エネリスを書いたのに…ワイ、メルマ書いとらんやんけ！！ってなったんでね、はい

解釈違い？……(ﾟ∀ﾟ)ｽﾏｿ

「いつも通りの紅茶」

貴方が居なくなっても湯の沸く時間が変わることはありません

ですが数回熱湯を手に零して火傷をしました

紅茶もいつも通りの温度でした

ですが何故だか少しだけ渋く香りは弱めでした

茶葉の量は変えていません

変わったのはカップの量が一つで済んでいることだけです。

ご安心を、私的には飲めなくはありません

ですが普段なら淹れていた二杯目を淹れる理由がなかなか思いつかないのです。

そして貴方が居なくなってから

何故だかぐるぐると意味のわからない順番で

変に物事を考えて思い出しまうようになりました。

そういう時は大抵貴方が好きだと言っていた紅茶を淹れるようにしています

貴方はよく私に対して『感情が希薄』だと仰っていましたよね

それは事実です、自覚もしています。

両親にも兄弟にも知り合いにも幼い頃から散々言われて育ちました。

よく言えば冷静で物静か

悪く言えば不気味だと

ですのでこうして貴方が居ない今も静かに私らしく生きています。

紅茶を淹れていると眼鏡が曇り、 外して拭いていると

無意識に視線が窓際の椅子に移りました

貴方の席です。

ご安心ください、一応目の前にある花瓶の水は毎日変えていますよ。

これからもずっと貴方の席は使われる予定はありません。

視線を元に戻し、眼鏡をかけ直すと世界は元通りに見えます

何か足りない気もしますが、まぁいいでしょう。

紅茶をカップに注ぐとき、いつもより香りが弱い気がしました

飲んでみると少し渋みもありました。ですが大丈夫です

淹れなおす必要も理由もありません。

飲むのは私だけなので、誰も気にしませんよ

おかしな事を言いますが、

貴方が居なくなってから配膳の際戸惑うようになったのです。

普段は貴方のカップを先に取り、私のは後に取ります。

これが従者としての基本的な作法です。

ですが貴方が居なくなってから

貴方のカップを使う必要が無くなってから

どうも一瞬判断が付かなくなったのです。おかしいですよね

それに今朝飲んだ紅茶もおかしな味だったのです

最初は温かくて丁度いい味だったのに

数口飲んだ後やけにしょっぱくて嚥下するのもやっとでした

なのに少し時間を置いて飲んでみたら

少し冷めただけの普段通りの味でした。

何故でしょうかね

塩なんて入れた覚えは無いのに。

貴方が居なくなってから手元が狂う様になり

湯を零したり花瓶を落として沢山火傷や傷を負ってしまいました。

ですがご安心を、大剣の訓練をしている時の怪我よりずっとマシです。

ご存知ですか？

実は私、元はそこそこいい所の娘だったのですよ

武器も持ったことはありませんし

誰かの従者になるだなんて一度も考えたことの無い娘でした。

実家では発育と体格の良さが目立つのが早すぎた私の価値が消えないうちにと

親が結婚相手を血眼になって探したりしていたようです

まぁ実家から出た今はちっとも関係ないのですがね、

結局私の素性を知っている人間はフォイだけですし彼奴は案外口が堅い。

親や兄弟とはもう縁も切ってもう所詮は他人なので

関わることも心配も無いですか。

私に他の従者たちのような可愛げや素直さが少しでもあったのであれば

何か言えたのでしょうか

私は貴方のせいで沢山苦労しました。

毎日高い塔を駆け上り、貴方の後始末に終われ寝不足で胃痛を患い

フォイに毎日のように愚痴愚痴言われ、大剣の稽古で手にはマメができました

ですが、何故でしょうか

どんなに苦労したことを思い出しても

どうしてか貴方の傍に居る時はどうも呼吸がしやすかった気がします

貴方が何故私を従者にしたかは知りませんが

私は貴方の従者になれて良かったと思っています。

…だからこそ、私は従者としてしか生きれないのです

紅茶を飲み終わりました

ですがカップを置けません。

置いてしまえば一連の動きが終わります

終わってしまえば、

やるべきことがないことに気がついてしまいます

孤独であることに

貴方が二度と戻ってこないことにも。

教えてください、私はまだ貴方の従者です

正直貴方のわがままには何度も何度も頭を抱えましたし

うんざりしていました。

ですが、そんな貴方にことが私は大切でした

私はきれから一体何をすればいいのですか？

私なりにちゃんとやっていたかと思います

何が足らなかったのですか？

今後は気をつけますので

…今後なんてないのに、おかしいですよね

リリーベル様、

私、 頑張って今だけは素直になりますよ

最後くらいは、二人でお茶にしたかったです。

いつも通り、貴方の好きな紅茶を淹れさせて欲しかった

…なんて、わがままですよね