みんなに応援されて、見守られて、時にはせっつかれた俺と阿部くんの恋。
結論から言うと、1年待たずに破局した。
前に進みたいと言っていた阿部くんは自分から過去の大恋愛の話を教えてくれた。
俺はそれを乗り越えようと躍起になったけど、実際のところ阿部くんはなかなか踏み出せず、ついに『目黒くんは何も悪くない、俺が悪い。ごめんね、さようなら』とメッセージを残し、卒業と共に俺の前からいなくなってしまった。
誰もが知る国立の大学を目指しているのは知っていたけど、どこに合格したのかも知らないまま。
阿部くんのお母さんにも所在を尋ねたけど『自分が悪いからもう会う資格ないって、だから絶対に言うなって言われてて、ごめんね。1つだけ話せるとしたら、ここにはいないよ』と謝られた。
それから俺は一度抜け殻みたいになったけど、目の前のできる事としてよりサッカーに打ち込んだ。
阿部くんに相応しい恋人になりたくて勉強を頑張っていたけど、教科書を開くたびに隣で勉強を教えてくれた姿が浮かんで、それも気力をなくしてしまった。
スポーツ推薦で入った大学の生活にも慣れた頃。
あの試合以来深澤先輩を介して交流があった宮舘さんと佐久間さんがめでたく入籍して、ささやかにパーティーをするとかで招待状が届いた。
🩷「蓮〜来てくれてありがと!」
🖤「ささやかって何なんですか、俺の知ってるささやかじゃない」
それもそのはず、色とりどりの風船や花が飾られたガーデンウェディングと豪華なビュッフェ。
そこになぜか和装の宮舘さんと真っ白いタキシードの佐久間さん。
レストランあたりでお祝いなのかと思っていた俺とはささやかのレベルが違った。
みんなも思っていたようで、でも涼太らしいわと笑っていた。
幸せそうな2人の弾ける笑顔を見ると嬉しい気持ちになると共に複雑にもなる。
岩本くんと渡辺さんもずっと続いていて、今も一緒に生活しているらしい。
岩本くんは今日の見て勇気もらった、就職決まったら俺もプロポーズしようと思うなんて話していた。
あの時一緒に青春時代を過ごした仲間たちはみんな順調で、俺だけが取り残されているみたいだ。
そして、俺より仲が良かったであろうはずの阿部くんの姿もない。
本当はここで会える事を少し期待していた。
悲しかったけど、不思議と怒りはない。あれから女の子と付き合ってみたりもしたけど、やっぱり阿部くんが隣にいた時のときめきには敵わなくて、向こうの機嫌を損ねては振られてばかりだった。
パーティーも中盤に差し掛かった頃。
料理を取りに行こうとした俺の視界に、今来たのであろう人が映った。
宮舘さんと佐久間さんに『ごめん』と手を合わせるその人は、間違いなく阿部くんだった。
コメント
4件
再会だね。
まさかの始まり方!! 結末は1つしかないと信じたいけど気になるからこんなこと言わずにとっとと読んでくる!😂