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第2話「長い会議と苛立ちの朝」
朝、白い部屋を出た陸、空、海の三人は、それぞれ重い足取りで準備を進めていた。
陸は制服のジャケットのボタンを締めながら、ため息をつく。
空は資料を何度も読み返し、海は無言で鞄を肩にかけた。
「今日の会議、また長いんだろうな……」
陸は小声で漏らす。
「うん。内容もいつも同じ。進展もないし、時間だけが過ぎていく」
空も苦い顔で答える。
「でも、参加せんとダメからな……」
海は静かに言葉を継ぐ。
彼らが向かうのは、世界の代表が集まる巨大な会議室。
受付を済ませ、各国の代表たちと顔を合わせる。
「アメリカ、おはよう」
陸が声をかけると、アメリカはニヤリと笑い、時折英語を交えながら応じる。
「Yo! Ready for this boring session?」(よぉ!この退屈な会議の準備はできてるか?)
中国は冷静に「始めるアル」と言いながら資料を広げ、イギリスは紳士的に「Gentlemen, shall we begin?」と促す。
会議は予定通り始まったが、すぐに内容は何度も繰り返される議論の山。
「我々の意見は変わらぬものです」
ドイツが淡々と話す。
「それはさておき、イタリアはどう思うね?」
ナチスが鋭い口調で尋ねる。
イタリアは少し照れくさそうに「ioは……まあ、そう思うね」と答える。
話はいつまでも平行線。代表たちは話し続けるが、具体的な結論は見えない。
陸は腕を組み、机を軽く叩いた。
「一体いつ終わるんだ……」
空もため息を漏らし、海は無言で資料を閉じる。
時間だけが無情に過ぎていく。
ようやく会議が終わり、陸は険しい表情でつぶやく。
「結局、何も変わらないのか……」
彼らが家に戻るころ、日差しはすでに高くなっていた。
日本は兄たちの帰りを静かに待つ。
「おかえりなさい、お兄さま」
三人は疲れ切った顔で返事をした。
「……悪い、今日は長引いた」
「明日も同じような話が続くらしい」
日本は少しだけ、胸の内で苛立ちを感じていた。
「兄ちゃんたちの世界は、何でこんなに停滞してるんだろ」
そんな想いを胸に、日本は静かに夜を迎えた。