この作品はいかがでしたか?
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「今から、何処に行くの?」
そう訊かれた私は
「今から西遊庭園広場に行って、そこでお昼ご飯を取りましょう。そして、美しい植物を鑑賞できる場所でも有名ですからとても楽しいと思います!」
と、答えた。先程、私達は”いちごのせかい”に足を運び、同時に糖分も摂取できた。イチゴの甘酸っぱい味や優しい食感は女の子を魅力的に彩るマストアイテムな気がする。私は美羽のイチゴに齧り付き、美羽の優しさや可愛いらしさに触れた。美羽の声が聴こえる度に胸が熱くなる。これが感情の高鳴りなのだと確信する。昨日の美羽の雰囲気とは一変して人間らしさが垣間見えた。不安定で瞳に光が無い美羽も好きだが、明るく可愛いらしさを全面に出してくるあざとい美羽も好き。
だから、今日のデート(仮)をきっかけに私を生き甲斐としてくれると嬉しい。そう思うのだった。
「…僕、お花、好き…なんです……」
突然の言葉に戸惑い、美羽の手を握ってみせた。美羽の頬は赤く染まり、握っていた右手は次第に熱くなっていった。照れてる?そう思ったのも束の間、バスが止まった。
「鳴海~鳴海~お降りの方は扉が開くまで席をお立ちにならないようお願い致します。」
そう、アナウンスが流れ美羽は私の手首を掴み
「桜、行こ」
と、美羽は私を誘った。ゆっくりと席から立ち、順番に降りていく。最後に降り立った私達はバス停で静止した。
そこには咲き乱れた美しい花々が陳列していた。
美羽はスマートフォンのカメラ機能を作動させていた。私も同じようにスマートフォンを取り出した。すると、美羽は私の手を引っ張って
「一緒に写真撮ろ」
と、カメラの画角に私達が入った。美羽はきらきらと瞳を輝かせていた。その姿に目を奪われていた。はたから見たらただの仲のいい友達だが。私からしたら、大好きな恋人が人目を盗んでこっそりと写真撮影している様子だ。熱烈なアプローチは人を勝手に脳死させてしまう。理不尽なことに怒りを覚えつつ植物館に向かった。
美羽は人工滝の音に心を癒されていた。周りに生えている苔が和の雰囲気をそうふつとさせる。とても楽しそうな様子が愛おしく思う。
美羽は私に視線を向け、スマートフォンをこちらにかざした。
「桜ー!笑ってー!」
と、今までに聞いたことがない美羽の透き通った声を聞いた。にこっと笑うと、美羽は頬を赤らめ、先程購入したスポーツドリンクを口含んだ。潤んだ唇に心を奪われ植物鑑賞、所の話ではない。頬を赤らめた私は美羽をランチに誘った。
「お腹、空いてないですか?」
「…うん」
「ランチ行きましょ、美味しいオムレツが有名な”オムレットカルテット”に!ここからたった8分で着きますよ!」
「そこ…にします。」
「じゃぁ、向かうか!」
私達は手の甲に再入館の証明ハンコを打ってもらった。青白く光り輝く綺麗な模様は肌に馴染み、次第に色褪せ失せた。
「ここから先、オムカルまであと…1分だね!」
そう話しかけると、美羽は頬を膨らました。
「美羽さん…?」
そう訊いても、怒ったような寂しそうな表情のまま歩いている。こういう時に人間は自分の都合の良い方に考える。私は、美羽がオムカルについて熱弁している桜のことを嫉妬しているという解釈をした。
すると、美羽は
「ねぇ、桜」
と、私を呼び止めた。息を飲んだ。敬語無しのその言葉一つ一つに愛しさが込み上げてくる。なに?と、振り向くと照れる素振りを見せた。
「シェ…シェアしませんか!…。」
その仕草や願いの可愛らしさに再度惚れた。
「いいですよ~美羽さんと食べれて幸せです。」
そう伝えると美羽は下を向いて私から視線を逸らした。
散々褒めちぎって悪いが本当に好きなんだな、と感じた。暖かい風が抜け道から吹いてきた。ここがオムカル。遂に、美味しいオムレツとご対面だ。そう心を揺らしながら私達は店の中に入った。
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