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二人で仲良く注文した料理を食べていると桜は僕の方に小皿を置いた。

「美羽さん、少しシェアしませんか?」

更に桜は僕に近づく。

「…したいです」

僕はモッツァレラチーズがかけられているオムレツを、桜はカルボナーラとナポリタンのハーフパスタを半分に切ってお互いの小皿に取り分けた。桜は満面の笑みで小皿にスマートフォンのカメラを向けた。その後に、桜は写真を加工しまくっていた。テキストを表示していた。そのテキストには『楽しい思い出が沢山、詰まってる小皿』と、書かれてあった。

桜の頼んだパスタは弾力感が凄く噛めば噛むほど美味しさが舌に馴染んでつい幸せな顔をしてしまう。その幸福感を打ち消されるように桜は食べ物に夢中だ。そんな姿を見て僕から遥か遠い場所に生きているように感じた。大丈夫、桜ならここに居るじゃないか。僕は勝手に不安になって時に期待して僕は惨めだな。

桜がパスタをフォークに絡め始めた。最後の一口はガブッと齧り付きたいのだろうか。

「美羽。」

呼ばれて返事しようと口を開くと桜はフォークを僕の口の中に入れた。

「ん…むぐっっ!?」

「なんで…?」

そうきくと桜は冷静な顔で

「欲しそうな顔をしているようでしたので」

と、普通かのように話していた。実質的に関節キスをしたことになる。普通な表情で僕をどきどきさせて、困らせて僕は少々涙目になってしまった。気を紛らわすために黙々と食していると頭に桜のことがチラついて頭が熱くなるのを感じた。どうして、桜と一緒に過ごしているだけでこんなにも体が熱くなるのだろうか。僕が桜に思っている気持ちは一方的かもしれない。それでも、

───ずっと一緒にいることは叶わないのかな?

僕は食べ終わった皿にスプーンを置いた。桜は口をおしぼりで拭いていた。いかにもお嬢様かのような振る舞いをする彼女に親近感が沸いた。ふわっとしてしまうがその仕草に可愛らしさを感じた。桜はたまに僕の方を向いて見つめてくるのだが、その視線から目を離してしまうのが現実というものだ。桜、僕の初恋の人。だから、無知で何も分からない自分が子供っぽくて恥ずかしいのだ。

唐突に桜が僕を手洗い場に引っ張った。痛い、触られている。そんな行動にさえ冷静では居られない。

桜は僕のことをどう思っているのだろうか?

桜にとって僕はどんな人間なのだろか?

桜は僕に好意を持っているのだろうか?

大好きだから、そんな彼女に”嫌い”って言われてしまったら僕は逝くしかない。まだ、生きれるけどいつでも死ねることは残酷なことだとつくづく思わせる。

「離してっ……」

そう精一杯の抵抗をすると桜は引っ張っていた手を離して上唇に人差し指を置いて

「あんな場所で、そんな色っぽいお顔…なさらないでください。」

と、言い放った。思わずリアクションをしてしまったがそんなことは気にせずどうしてそんなことするのかを聞くと

「…大切だからです。」

と、当たり前かのように言った。桜と僕は少しの間、沈黙に襲われた。本当なら桜にもっとアプローチして好意を持って貰うべきだが震えた唇が言う事を聞かない。

「会計…!してきますね…」

そう言うと桜はさっさとこの場から離れていってしまった。

いなくなったのを確認したその瞬間、腰から崩れ落ちた。桜の体温を感じた。優しく落ち着く。上唇に指を置いた。その瞬間に涙が溢れ出した。一気に力が抜けた。緊張の糸が解けたように涙が一向に止まる気配を示さない。こんなにも好きなのに。その好意が届かない気がする。その所為で怖くて怖くてたまらない。

桜のことが好きすぎて苦しくて寂しくて愛おしい。桜は僕にとって太陽のように眩しくて綺麗な存在。

僕は店から出た。そして、スマートフォンで店の看板を写真に収めた。また、来れるよね。そんな願いを込めてカメラのシャッターを切った。

丁度、会計が終わった桜が次の目的地を示してくれた。

「美羽さんっ!次、ここに行きましょ」

そこには綺麗な海が写っていた。

「ここから近いから歩いて行きましょう」

言われるがままに着いて行った。僕はどうしようもないくらい桜のことを思っているんだ。桜には一生言えないだろうからこれは言葉にして伝えなくちゃ。覚悟を決め、桜に

「行きたいです。」

と、伝えた。その時の微笑みを忘れることは無いだろう。

僕たちの恋の密度が高すぎる

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