もう父の暴力にも慣れてきてラディとやっと普通に話せるようになった頃だった。
学校から1枚の手紙が配られた。
先生「はい、じゃあ今配った紙に自分のなりたいもの、まぁ進路書いてきてね〜」
中学2年生になり進路を考える時間も増えてきた。
まだ受験生にはなっていないものの頭の良い学校に行くには今から準備しなければならない。
相談する相手も学校にはいないので俺はラディと話すことにした。
まぁこれを理由にしてラディと居たかっただけだけど。
ラディに進路の紙を見せる。
ラディ「兄貴は将来何になるの?」
早速そう聞かれた。
俺は少し考えこういう。
らだお「んー俺は警察官かな、かっこいいし」
俺はテレビで警察官の1日を密着している番組を見た。
その時に警察官のかっこよさを知った。
父親は許してくれないだろう。
昔から医者になることだけを言われ続け、殴られ、教わってきた。
もう俺には俺の夢や意見があるのに。
ラディ「いいね!!似合ってる!じゃあ僕は医者になろうかな!」
俺の意見を否定せず似合っていると言ってくれた。
どうやらラディは医者になりたいようだった。
医者の勉強をしてかっこよさを知ったのだろうか。
ラディは本心で医者になりたいと思っている。
いいことだと思った。
ラディが白衣を着ている所を想像してみればよく似合っているもので少し笑みがこぼれた。
らだお「いいと思うよ笑お前に似合ってる笑」
ラディ「ありがと!!」
ラディは笑顔で言う。
この笑顔をずっと守っていきたい。
俺が居なくても、いなくなってもずっと笑顔でいて欲しい。
そう思った。
ある日突然ラディが俺に言ってきた。
ラディ「兄貴は離れないよね?」
母が入院しているからだろうか、自分から離れていくのが怖いのだろう。
俺の袖を握る手が微かに震えていた。
らだお「ずっと傍にいるよ」
俺はラディの頭を撫でながらそう言った。
そんなことはできないかもしれない。
ずっとなんて曖昧な言葉。
今まで色んなことを学んだけどこの言葉の意味のなさはよく分かっていた。
ラディ「約束!!」
ラディは嬉しそうに笑顔で俺に言う。
そして小指を立て俺の目の前にその手を出した。
らだお「…うん、約束、」
意味の無い言葉。
それでも、俺たちは約束をする。
指切りなんて久しぶりにやった。
小さい頃にやっても叶うことなどなかった。
でも、それでも、この約束だけは叶うとそう思っていた。
叶えたかった。
あの日が来るまで俺は知らなかった。
本当の言葉の意味の無さを。
その日は雨が降っていてジメジメしていた。
父に呼び出された。
ラディと一緒に部屋へ迎う。
ガラガラ
父「よし、来たな」
俺たちは父の前に座る。
父「お前たち将来のことを考えたことがあるか」
らだお(あぁ、この話…)
嫌な予感がした。
ラディ「僕は医者になろうと思ってます、」
ラディは静かにそう言う。
何を言われるか何をされるか分からない現状に声が震えていた。
それは俺も同様で手が震える。
父「そうだよな!!よく言った 」
父「医者になれ!俺のあとをつぐんだ」
父は熱心に言う。
この空間。
らだお(気持ち悪い)
心の底からそう思った。
to be continued…
コメント
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家の中でさえ気をつかって話すなんて…ほんとに家族かよッッ!?