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俺は黙って口の中にトーストと目玉焼きを押し込むと、一言も話さず家を出た
自宅マンションの前は、狭い道路だが
近くの大きな幹線道路が常に渋滞してるせいで、抜け道になっていて車通りが多い
俺は、道路に出たところで腰痛からくる痺れを伴ったまんま右足の力が抜けて、その場でよろめいた
ドンッ
大きな鈍い音と、一瞬の衝撃の後で
意識は全く普通じゃない空間に放り出された
―――
やたらと騒がしい音が耳に響いてきた
うっすらと目を開けると
「アンタなんか死んでも困らないんだから!!」
そう言いながら涙で顔をぐしゃぐしゃにした凪がいた
俺はまた、そこから意識が離れた
―――
次に意識が捉えたのは
あれ?ここ、家だ……
俺、出勤したのに??
でも、よく見ると……テレビのサイズが小さい
リビングのソファも……これ、前のやつじゃね?
「ご飯できたよ」
凪の声がして振り返ると
うぉぉぉぉ!!!
細い!!!
え、凪が……細い!?
しかも、髪が長い……
……まって、これ
結婚したばかりの頃にしていた凪の髪型だ
そっか……走馬灯
きっとそれだ。
改めて妻を見る
……こいつ、可愛かったよな
この頃のコイツにまた会いたかったわ
俺の気持ちは、凪に夢中になっていたあの頃の想いが溢れだした
その時だった
プッ
凪が俺の前で初めて屁をした
凪の顔が真っ赤になってく
……やべぇ可愛い
でも、確か俺あの時は
『お前、女捨ててるな』とからかって
二日ぐらい口聞いてもらえなかった記憶がある
よし!今なら、正解がわかるぞ!
男は、包容力だ!!
「凪はおならまで可愛いのな」
「やだっ恥ずかしいよぉ」顔を手で覆って照れる凪が
可愛くて堪らない
その後、凪は俺に抱きついて
「もぉ、お願いっ忘れてねっ」と甘い声を出してた
――ブツッ――
そんな何かが切れる音がした後
――また暗転
―――
「主任~これ、美味しいですよぉ」
隣に座る沙耶香が、俺の太ももに自分の足をくっつけてくる
あれ?これも走馬灯??
「おいおい、倖田ばっかずりぃな~沙耶香ちゃん俺にもあーんとかしてよ」
「ふふふ、だって菅野さんは席遠いしぃ」
狭いテーブルの向かい側から、男三人が羨ましそうに俺を睨んでる
うん、そうだった。
そんな目をお前らはしてたな
やっぱ走馬灯かぁ
「主任、なんかいい匂いしますね」
「沙耶香ちゃん、サンダルウッド系好きなんだ?」
「好きですよぉ……」
テーブルの下でこっそりと俺の太ももを指でなぞってきた
そして、あの時と同じように興奮のまんま、沙耶香ちゃんを美味しく頂いたけど
既視感のせいか、俺の中でどこか熱が足りなかった
タクシーで帰宅途中の、彼女の家の前で下ろし
夜中一時過ぎに帰宅した
自宅のドアを開けると、家の中の空気が
さっきまで灯りが点いていたような
ぬくもりを僅かに残していた
着替えてベッドに潜り込むと
凪が背中を向けたまま
「遅くまでお疲れ様。おやすみ」って小さく声を掛けてきた
俺はそこで違和感に気がついた
走馬灯って、記憶をなぞるんじゃなかったっけ??
そのまま、さっきまでのことを冷静に思い出していたら、いつの間にかうとうとしてきて
眠りについていた
―――
目を開けると、朝になっていた
マジでこれ、走馬灯か?
今普通に寝て起きた感覚しかない
やはり、腰が張って不快感を感じながら
リビングに行くと
テーブルにはいつもの朝の光景
「はい」
凪がホットコーヒーを俺の前に置いた
俺は、記憶と違う朝の風景の理由が分からないまんま、トーストと目玉焼きとコーヒーを平らげた
「いってくる」
「はい」
そんな短いやり取りをして、家を出た
俺、夢見てたんかな?
だけど、マンションの前に出た瞬間
同じように足の力が抜けてよろめいて
ドンッ
俺はまた、車に跳ねられた
いや、前回は何も分かんなかったけど
あの衝撃音がその瞬間だったと今度は理解できた
そして暗転
114
#死に戻り
#成り上がり