第二話 復讐代行屋とのやり取り
「へえ」
男は興味なさそうに相槌を打つ。
「ここに来る人は、だいたいそう言う」
皮肉めいたこえに、拳を握りしめる。
「あいつは……全部奪ったんです。名前も居場所も、信じてくれる人もーー恋人も」
事実を並べているだけなのに、胸の奥が熱くなる。
涙は出なかった。ただ、戻れないことだけははっきりしていた。
男は少しだけ目を細めた。
「それで、殺したい?」
「……いいえ」
自分でも意外なほど、答えはすぐに出た。
「同じ目に、遭わせたいだけです」
そう言った俺の目には、確かな覚悟がともっていた。
その瞬間、男は初めてちゃんと笑った。
「ああ、それは面倒だ」
そう言いながら、どこか楽しそうでもあった。
「でもーー嫌いじゃない」






