コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
「陽さんが不感症なわけないですって」
宮本はにっこり微笑みながら、橋本の両肩の付け根をベッドに押さえつけ、ふたたび首元に顔を寄せた。
また匂いを嗅ぐのかと、橋本が呆れ果てて油断したのを狙いすまし、左の耳朶をちゅっと食む。肉厚の耳朶を唇に感じるだけで、宮本のムラムラ度が急上昇した。
「ン、ンっ!」
くすぐったさで身を捩りたいのに、両肩を掴まれているせいでそれができない橋本は何とかしようと、その場で慌てふためいた。
「雅輝、や、やめてくれ。それ、くすぐったぃ」
「だったら――ここはどうですか?」
先制攻撃を示すような艶っぽい声で囁いたあとに、生暖かい舌先を耳の穴に差し込んだ。
「バカっ、やめっ! ううっ、あぅっ!」
橋本が首を左右に動かして、宮本の舌から逃れようと嫌がっても、しつこく追いかける。
「もぉ駄目ぇっ、それっ、イヤだって……ぃっ、んんっ」
(ひとつになったときに、いつかはこんなふうに喘がせることができたらいいな――)
「意地悪なことしてごめんね、陽さん。ココは感じますか?」
小さく笑いながら頬にキスを落とし、さきほどちょっとだけ弄って勃たせた乳首に、優しく舌を這わせた。
「んうっ……」
暴れて逃げようとしたせいで、思いっきり息が乱れていた橋本は、一瞬だけ息を飲み込み、躰を震わせる。宮本はこれは感じるかなと前歯で乳首を軽く噛みながら、ちゅっと吸ってみた。
「あ、あぁっ」
耳を責めたときとは一転した、橋本の微妙な様子を窺いつつ、空いてる手で反対の乳首をくりくり摘まんだ。
「陽さんに、こういうことをしたのって――」
「おまえがはじめてに決まってるだろ。何なら、雅輝の乳首を舐めてやろうか?」
橋本が自分に笑いかけたのを見て、宮本はその余裕をすぐさま削いでやろうと考えつく。暴れてタオルが外れたお蔭でむき出しになっている下半身に、嬉々として手を伸ばした。
「俺の乳首なんて、舐めさせませんよ。そんな暇を与えないくらいに、大好きな陽さんを責めまくりたい」
「まったく……自分が誰かに食われるなんて、夢にも思ってなかった。実際なんだか変な気分だけどさ」
「はい?」
宮本に微笑みかける橋本の顔が、今まで見た中で一番穏やかで幸せそうに見えたのは、気のせいじゃない。
リビングの明かりが顔全体を映し出すお蔭で、宮本はそれをしっかりと確認することができた。スマホをこの手に持っていたならば、幸福感を表すその表情を、カメラの中に収めていただろうと思いつく。
それくらい、いつでもどこでも見ていたいと思わせる顔だった。
胸の中にじんとした熱を感じたタイミングで、橋本が目じりに皺を寄せながら口を開く。
「好きなヤツに抱かれることは、悪いもんじゃねぇのがよくわかった」
「陽さん……」
「躰だけじゃなく、心も満たされていく感じ……うん、それに近いかな」
橋本のモノを握りしめている宮本の手に、自然と力が入った。大きく熱り勃ったモノから橋本の想いを感じて、もっと乱してやりたいと思い、宮本はそれから手を離した。
「ん? 何をするんだ雅輝。いきなり挿れるなんてことをするなよ」
「――いや、挿れる」
「へっ!? ちょっ、待ておまえっ! そんなことをしたら、うわぁあ!」
宮本は腰を捩って逃げかけた橋本の膝裏を、両手でぐいっと持ち上げる。唐突な宮本の力技になすすべなく、橋本の開いた口をそのままに、下半身が宙ぶらりんな体勢になった。
「ひっ!」
橋本の短い悲鳴を聞きながら、自分のモノを挿入する部分に、ぐいっと舌を出し入れした。
「バカっ、そんなとこ舐めんじゃねぇって。しかもそこをまじまじと見るなっ、恥ずかしい……うっ……」
羞恥心で頬を赤くした顔を見られないようにするためなのか、橋本は片手で顔を隠しながら、他にも何か喋り続ける。その様子から自分だけじゃなく、橋本も緊張していることがわかってしまった。
(はじめて抱かれるんだから、緊張しないわけがないんだよな。それを必死になって隠そうとする陽さんが、かわいくて仕方ない!)