テラーノベル
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第87話
二日後。
昨日は家に連れて帰ってもらったけど、あまり寝れなかった。身体は疲れてるけど、心も疲れ過ぎて、ちょっと色々な考えが頭の中で巡っていて、夢見があまり良くなかった。
リナは、左手以外普通に動かせていた。
あ、サントラップは、三日間休業。魔法学校卒業生が集められて手伝いに行くらしい。明後日までだ。
リナだけで、家をまわしている。俺は、自分の事で精一杯だ。というか、食べる気にならないから、魔法で栄養を補っている。勿論、自分で。
食事は置かれているから、それを分解して、身体に取り込んでいる。それも、吐いちゃうけど、少しはお腹に残ってる。
『ノア。呪いが総入れ替えされてる』
ぼんやりと、見慣れた天井を眺めてたら、ソースの声が聞こえた。
一度、瞬きをしたら、空の上というか……亜空間。なぜか、それは魂に刻まれていて分かる。そして、天の王座って名前ってことも。
は? 何だって? そして、どこ? ここ。
「呪いは全部解けたけど、また増えてる」
急いで身体を起こすと、高そうな椅子に座った、ソース――神様がいた。足を組んで、肘掛けに肘を置いている。
なぜか身体が軽い。
……それは置いておいて、呪い? 増えてるって何?
「それは、俺だけか?」
「このリストの人たちだ」
そう言って俺の前に紙を出した。
……神様凄。
そのリストには、俺、ニルスさん、エリカさん、グレーテさん、ローベルトさん、ラルフさん、ライナーさんたちの名前が書いてあった。
……あれ? リナは?
「気付いた? 書いていない人が呪いの犯人だ。ソラーレは、犯人候補として入ってる」
あの金色の瞳から発せられる視線が、いつもの何百倍も鋭かった。
思わず気圧されたけど「あくまで、候補だろ? それに、魔力の動きは正直だ。その、リーパーだっけか? そう言われてた人の相棒だ。見分けられない訳ないだろ」とシリアスな笑みを浮かべた。
馬鹿にするなよ。
リナがそんな呪いをかけたいんだったら、とっくの前に殺されているか、記憶を飛ばされるかのどちらかだ。
「ふっ……フハハッ! 流石、ノアだ。守るべき物を守れ。信じる物がどんなのでも俺は知らない。けれど、生き物の規則に従えよ」
俺は飛び起きた。
さっきまでいたはずの場所にいない。ここは俺の部屋だ。
でも、あのリストは手元にあるから、夢では無い。
「ノア? 返事して」
#魔法
こはる
121
植まどか
136
こはる
1,676
601
あ、ヤベッ!
俺はベットを降りて、扉を開けた。
「すまん。ちょっと寝てた」
「呪いは? エリカとか、ニルスさんとか……皆、呪われてる……」
「誰から聞いたんだ?」
……その人の可能性が高い。でも、リナは、リナ自身で見分けられる筈だから、なんとも言えない……
「グレーテから聞いたのよ」
そう言っているリナの魔力は、嘘を吐いている動きだった。
は……? 嘘だろ……
いや、まだ決まった訳じゃないけど……一番怪しいのはリナ……
「ノア。顔色悪いよ。大丈――」そこまで言ったところで、俺は無意識の内に、リナの身体を突き放して、扉を閉めていた。
扉に寄っかかって、横になった。何が起きたのか、頭が理解しようとさせてくれない。
扉は、内開きだ。ここに俺がいる限り、動かないだろう。
何が起こった? 何で、リナは嘘を? 俺をはめるためか? それとも、リナはお兄様と繋がってたのか?
何で、俺は殺されない? 俺は、誰を……
「ノア。ごめん……」
そう言ってリナは離れて行った。
触れちゃいけない機微に触れたって事かな? それはそうだよね。だって俺は、相棒の他の何物でもないも……
無性に、吐き気と、怠けと、睡魔が襲ってきた。俺は、身体の欲望に沿って目を瞑った。
❂
「ローベルト。身体は大丈夫?」
廊下をカトリーナが俺の側を離れず歩いている。
一昨日からこんな調子だ。
普通、逆のような……
でも、あの日、カトリーナに調べてもらったから、心配かけてるのは違いない。
俺にかかってた五、六個の呪いは、滅多に見ないけど……リナと、ノアの近くにいたら色々とズレる。
「あぁ。いつもと変わりない」
俺がふわりと笑むと「本当に大丈夫ならいいけど……」と俺の頭を撫でた。
「ローベルト様。カトリーナ様。グレーテ様が!」
切羽詰まった様子の騎士が、俺たちの前で片膝をついた。
「グレーテがどうしたの?」
「グレーテ様が、倒れました。意識はあるものの、息は乱れ、脈は速く、何かにうなされているようでした」
うなされる……
カトリーナの方をチラリと見ると、頷いた。否、呪いによって倒れたという事になる。
「グレーテの所へ急いで案内しろ」
「はっ」
そう言ってその騎士は、グレーテの所へ案内をした。
コメント
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こはるさん、第87話読みました🥀 ノアがリナの嘘に気づいて扉を閉めるシーン、めちゃくちゃ胸が痛かった……「相棒の他の何物でもないも」って自己否定みたいな言葉が刺さる。グレーテが倒れたのも気になるし、リストにリナの名前がないのがもう不穏すぎて。ローベルト視点も含めて、疑心暗鬼がどんどん加速していく感じ、重くてでも目が離せなかったです。次が気になります……!