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俺には双子の兄がいた。
少しドジだったけど、人の為に体を張れる人だった。俺含む色んな人が兄を尊敬してたし可愛い恋人だって居た。
恋人のなろ子さんは兄さんの後を「のき、のき」とちょこまかついて回って、傍から見ると兄妹のようだった。でもいま思えば兄さんもなろ子さんが大好きだったと思う。男女共に兄さんは好かれていたのではじめ嫌がらせなんかも受けてたみたいだけど、なろ子さんの優しい性格もありいつの間にか周りの人はみんな2人のことが大好きになっていた。
そしてその2年後。
兄さん___にょきをは不慮の事故で命を落とし、なろ子は今俺の恋人。
俺は、なろ子が好きだった。
にょきをがなろ子と付き合うずっと前からなろ子のことが大好きだった。あの日俺はにょきをに協力してもらおうと思い、部屋に呼んだんだ。その時、にょきをからなろ子のことが好きだと打ち明けられた。その後に俺もだなんて言えるはずがない。
「そっか…!がんばってな、にょきを」
「うん、!ありがとかもめ、私、頑張るよ!」
そこからとんとん拍子に話が進んでにょきをとなろ子は婚約した。そんな時ににょきをが事故にあい亡くなってしまったのだ。
「のき、?」
まだにわかに信じ難いといった顔でなろ子は遺影をじっと見つめ、やがて声を上げて泣いていた。
「ねぇ、かもめくん。のきは、のきは…本当に死んじゃったんだね。」
「……そうだね。」
「のきを失って、私…生きる意味がわかんないよ、」
泣き腫らした赤いまぶたを隠すように俯いてまた泣きじゃくるなろ子。我慢できなくて、
「じゃあ俺がにょきをの代わりになるよ…!」
思わず立ち上がって声を上げた。
「にょきをほどの大きな人間じゃないけど、なろ子さんの心の傷が少しでも埋まるように、お手伝いさせて欲しい。」
そんなことがあってから、幾月がたった。
なろ子はにょきをという大きな存在を失った悲しみはまだ拭えないまでも、にょきをに向いていた心は徐々に俺の方に傾きつつあるようだ。俺はショックのあまりなろ子が自殺してしまうのでは無いかというのも相まって、なろ子を楽しませる、笑わせることに全力を注いだ。
そして正式に俺がなろ子の恋人になった時だった。