湊(咲藍さんは何か好きな物、ありますか?
ここでピアノと即答出来なかった自分を嫌いになりそうだった。
でもこの後でピアノと言ったとして、「即答じゃないんですね」と言われるような気がして、言えなかった。
咲藍(……..サクラかな
自分でも思っていなかった応えだった。
咄嗟に出たこの言葉。
きっと私は、貴方とサクラを一緒に考えていた
のかもしれない。
咲藍(咲空は何が好きなの?
湊(僕は……………「秘密」です。
意地が悪いなぁと笑って言う彼女。
本当は言いたいさ。でも言ってしまったら、この関係が崩れてしまうのではないかと、怖気付いていた自分がいた。
「「この時ちゃんと貴方が好きだと言えていたら、少しは変わっていたのかな?」」
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月明かりが頬を照らす。
夜は、春とは言えない寒さが体に纏わりつく。
それでも、窓に座って読む本はどんな季節であろうとも、人を、本を、美しくする。
脳内で彼女が弾いた曲が再生される。
それと同時に貴方の笑顔が浮かぶ。
その笑顔で僕も笑顔になる。
「幸せの連鎖はいつまでも続く訳では無い。」
ある小説の一節だ。
僕が不幸な目に遭うか、或いは彼女か。
風に揺らいだ蝋燭の火が消えた。
風に揺らいだカーテンが舞い上がった。
それは神秘的で、海月かまたは…………
「ぼくにそっくりなゆうれいのようにもみえた。」
湊(僕が消える前に、貴方が好きだと、言えるだろうか。
庭のさくらが頬を伝って涙の様に流れた。
主(短い
すまん
第5話「real dream」
コメント
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待ちに待った4話あああああ! めっちゃ読みたかったのだ☆ 5話も楽しみ«٩(*´ ꒳ `*)۶»ワクワク