蛇行する車が無造作に突っ込んでくる。
唖然とし立ち尽くしていた_の手を引く君。代わりに君が路上に飛び出す。
「ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙!!」
汚い鼻濁音が響き渡る。
鮮血は宙を舞う。
この事件は、_を含め軽傷者八名、重傷者五名、死亡者一名、運転手は警察に連行され、夢として幕を閉じた。
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朝から最悪な夢を見た。目覚めが悪すぎて頭が痛い。
こういう時は音を奏でるに限る。
大事な所だけ、霞がかかったように思い出せない。
妙に現実的で、正夢でないことを祈るしか無かった。
悩み事があると、人に話せずピアノに滅入り込む癖がある。
其れが膨張していって、最後にはピアノを弾く手が止まらなくなる。悩みの種が消える迄。
湊(ただでさえ速い曲がもっと速くなってますよ。
自然とピアノを弾く手が止まった。悩みの種は消えていないのに。
咲藍(………..この曲の名を知っているの?
湊(此処に来てからずっと同じ曲を弾いていたので、気になって調べました。
笑顔が眩しい。
咲藍(……ねぇ咲空。貴方は正夢を信じる?
湊(現実味を帯びたものなら。
正夢、見たんですか?
正直、これが初めてという訳では無かった。
些細なことではあったが、お昼にナポリタンを食べる夢を見た時、偶然かは分からないがその日の昼はナポリタンだった。
他にも信号が全部青だったり、地震だったり。
それが正夢になる時必ず、今までと比にならない頭痛が寝起きを襲う。
咲藍(………..交通事故で誰かがシぬ夢。
湊(….それ、僕達がシぬって訳では無いですよね?
咲藍(少なくとも、怪我はするかもしれない。
晴れ渡っていた空に雲が浮き始めた。
何時しか曇天に変わり、ぽつぽつと雨が降り始めた。
其れはまるで不吉なことの前触れを指しているかのようだった。
湊(…….もう帰った方が良さそうですね。
送っていきますよ。
咲藍(ありがとう。
第6話「Flowers bloom in memories」
コメント
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この話好きすぎるうううううううう 全人類にみてほしいぐらいいいいいい 最高だよおおお! 正夢か~ 一回だけある☆ 友達が髪切る夢で、次の日友達の髪の毛短くなってた☆