※この物語はフィクションです。
実在の人物及び団体、事件などとは一切関係ありません。
〈File60:死んだ建物〉
それは針葉樹に埋もれるようにして、ぽつんと建っていた。
「ここが、千景さんが消えた廃墟だ……」
遠目に見ても古いことがわかる建物は、近づくと一層年月を感じさせる佇まいだった。
窓ガラスはすべて割れ、コンクリート製の壁にはヒビが走っている。
玄関のひさしにはツタが垂れ下がって、針葉樹と共に鬱蒼と陰を落としている。
「なんか、人類が消えたあとの世界を感じさせる建物だなあ……」
建物を見上げ、ケントがしみじみと呟いた。
少しわかる気がする。
工場の規模からしてそれなりに繁盛していたはずが、今は打ち捨てられて誰の目にも止まらない。
建物も、人も、死ぬとこうなるんだろうと思わせる寂静感のようなものがあった。
「見ろ、足跡があるぞ」
智世が指差したの***********************
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