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1-1・ある日の満月を、1人の少年が見上げる。少年は好奇心のままにその月へ手を伸ばす……。・突然空に浮かぶ満月を見て、別の世界からやってきた少女が驚愕する。・「あなた、何してるの!こっちに来て!」・少女は叫ぶが、すでに遅く……少年の手が触れた瞬間に異変が起こる。・突如として月全体が大きく輝き始める。・その輝きと同時に、少女の体が透けていく……。・少女は困惑しながらも、消えゆく世界の中、必死に少年の名前を呼びかけた。・「私を呼んで……」・しかし、少女の声は届かず、その姿は完全に消える。2・数日後、満月を見ていた少年は目を覚ます。・目覚めた彼は、満月を見た日の出来事を全て覚えていた。・あの少女とはまた会えなかったことに残念そうな顔をするが……ふと、自分の手を見る。(そういえばこの手……あの時月に触れてたような……)と思いながらも少年は夢のことを忘れてしまった。・それから数年の間、特に何事もなく平和な時が流れていく。・しかしある夜――満月を見上げた少年の前に再び同じ顔をした少女が姿を現した。 真紅の瞳に映るのは……自分?・「私、あなたのことが心配になって……」・少女は悲しそうな表情で呟くように言う。「……私のせいでこんなことになるなんて思わなかったの……」・次の瞬間、世界が揺れ始めたかと思うと目の前に巨大な影が出現し、地面が大きく割れて行く。・崩壊していく大地の中で、少年が最後に見たものは満月であった。・それはまるで……自分を誘うかのように見えた。・少年は誘われるようにその影へと足を踏み入れた