_____一目惚れだったんだよ。
貴方は覚えてるのかな?初めて会った時の事
忘れもしない、
あの日
初めて私の恋心に花が咲いたんだ__。
{ およそ半年前 }
『と、隣に住むことになりました。
ご迷惑おかけすると思いますが
よろしくお願いします……』
『これ、つまらない物ですが……』
暑い暑い、夏の日の出来事
窓を開けても閉めても、セミの鳴き声が五月蝿いばかりで
私の心は梅雨まっさだなかのようにどんよりした心でいた
でも貴方が挨拶に来てから嫌気が差していたセミの鳴き声も耳に入らなくなって
少し背の低い貴方がこちらの顔をチラッと見ればまた斜め下を見つめていた
それがどうしようもなく可愛かったのだ
不幸な人生でもないだろうけど
それでも何故か守ってあげたくなった
私のモノにしたくなった
これが私が彼女と出会った時の事
そこから私は彼女のことについて調べるようになった
恋愛事情は?所属会社は?好きな物は?嫌いな物は?
ありとあらゆることを調べた
21歳、一般配送会社に所属していて、レモンの匂いが大好きだけど、レモンは食べれない
彼女の使う香水も、シャンプーも洗剤もレモンの香りだった。
「これだよね__」
私は彼女の写真を片手に商品棚からシャンプーを手に取った。
彼女と同じになりたかった
大家さんに相談をして監視カメラの設置を許可して貰えた
バレないよう、ギリギリをせめて隣のドアが映るように
彼女に一目惚れしてから早1年、私は23になり彼女は22になった
私はすっかり彼女の匂いに変わり、今日も監視カメラを見る
彼女はいつも11:30に帰ってくる
そして今の時刻は11:24、彼女がもうすぐ帰ってくるのだ
今日は木曜日
比較的彼女は火曜日から死んだかのように足を引きずって帰ってくる、本当に愛くるしい
明日、ようやく彼女を独り占め出来る
______待っててね♡
金曜日の朝7:00、私は初めて有給を使った
彼女が家を出るのが5:00、だから今彼女は部屋に居ない
今から私は部屋に消臭剤をかけまくる
ラベンダーの香りのアロマも片付け、
そこらかしこにある畳っぱなしの服も片付け、
机も並び替えて、カーペットも変えて
床、壁、天井、角から面側、そこらじゅうに消臭剤をかけまくった
所々湿っていて違和感がある
「………ドライヤーでもかけるか ((?? 」
1泊深いため息を吐く。
待ちきれない、現在時刻は午後6:00で
後5時間
貴方は私の気持ち受け取ってくれるよね?
時は過ぎ、時刻は10:45
準備に取り掛かる
まずお風呂に入る、彼女と同じシャンプーとトリートメント、ボディーソープにヘアオイル
私は彼女の匂いに包まれる。
長いことお風呂に浸かり時刻は11:15を示す
私は彼女の部屋〖401〗号室と〖400〗号室の間に私の部屋〖402〗号室の鍵を落とす
〖400〗号室さんはいつも9:00には部屋に入っておりそこから部屋を出た事はここ1年間で一度もなかった
私はそのままエレベーターに乗りケーキ屋さんへと向かう
彼女の好きなチーズケーキと彼女が嫌いなロールケーキを買う
そして近くにあるスーパーに寄り
彼女が愛用しているコーヒーと
彼女が大嫌いな紅茶のパックを買う
そうこうしていると時刻は11:38きっと彼女は帰っている
いや……
私の部屋の前で縮こまって座っているだろう
電車で空いている席を探している老若男女に席を譲り
前にいる人が物を落としたら走って渡しに行く
彼女は私の鍵を見て無視はしないだろう
雪がシンシンと降る真冬の帰路
暗い深夜を更に暗く曇らせ私の犯行も包み隠してくれる
_____フフッ笑
エレベーターに乗る、私の部屋の階に着いた時やはり彼女は縮こまって座っていた
私はその瞬間笑みがこぼれた。
彼女の吐く息が伏せているにも関わらず白く見えている
私は一旦深呼吸をし
「あの…?」
私は頭を伏せている彼女に話しかけた
彼女は案の定と言うべきかゆっくりと頭を上げていた
少し屈んだとはいえ座っている彼女は上目遣いになっておりもう死ぬ程可愛い
もうすぐ私のモノになると考えると嬉しさのあまり飛び跳ねそうになる
『か、鍵が!落ちてたので!!』
ほぼ投げやりに私の鍵が渡されたので床に落としそうになる
でも、そんなことより彼女が部屋に戻ろうとしている姿が見えるから
私は急いで彼女の細くありながら、もちっと肉の着いた腕を握る
「これ!!えっと……バイト先でケーキ貰ったんですけど、お礼がてら 一緒に食べませんか?」
我ながら理由作りの天才だと思う
『いや、大丈夫です……』
彼女の事だから12間程寝たいのだろう
あーもうほんとに可愛い、バブちゃんじゃん
「あ、ケーキ苦手でしたか?ロールケーキとチーズケーキがあるんですけど」
『いえ、嫌いではないですけど…』
私はじゃぁ、と言って彼女の腕を握る手を強くして無理矢理部屋へ招く
私は彼女が靴を脱いだのを確認すると自分の部屋の鍵をこっそりと閉めた
彼女を机の前に座らせケーキを出す準備をする
その際私は、正座で申し訳ないですと1つ謝罪をしておいた
貴方は直ぐに足が痺れちゃうからケーキ食べてる間に少し足が痺れちゃうよねー
「紅茶かコーヒーどちらがいいですか?」
『あ、コーヒーでお願いします……』
そうだよねー、紅茶は苦手だもんね〜
でもね、味が濃く深いコーヒーに別の味を少し入れてもバレないからその点ありがたいかな〜
私はおよそ2週間前に貰った睡眠薬を粉々にしておいた物をコーヒーの中にに入れた
この睡眠薬はかなり強めらしくて薬局ではなく病院で処方される特別な薬だ
私はコーヒーとケーキを机に並べた
彼女はキラキラした目でケーキを見ている
ほんとに可愛い、今すぐ私のモノにしたい
「ロールケーキとチーズケーキどちらがいいですか?」
『チーズケーキで……お願いします……』
私はその後いただきますと言い無言で食べる
普通にロールケーキは美味しかった
私は口に含んだケーキを咀嚼しながら彼女を見た
ほんとに可愛い
顔のパーツ、手の大きさ、口の開け方、全てが愛らしい
食べてる時彼女はずっとケーキの方を見ていた
彼女は無言が苦手だ、自発が苦手で中学時代は友達が余りできなかったらしい
2、3分したら彼女もケーキを食べ終わった用で、 ソワソワし始めていた
そしてしびれを切らした彼女が
『ご、ご馳走様でし…___』
そう言った瞬間私は立ち上がった
彼女の唇は少し震えて居て怒らせたと勘違いしているのだろう
可愛い
私は彼女の横に膝を付けしゃがんだ
「あの」
私が発言した、
彼女の可愛い癖だ、何か呼ばれると身体ごと呼ばれた方へ向けてしまう
正面を向いた時私は
彼女を押し倒した
彼女の長くて毛先が少し巻かれた髪が部屋のフローリングに広がった
驚いている彼女の表情を見て私は口角が上がる
そして彼女の目が少し閉じ始めたのを見越して
『ずっと、ずーーと、準備していたんですよ、貴方と初めて会った時からこの時まで!!』
彼女には途切れ途切れに聞こえているのだろう、そして一度しっかり瞼が落ちたタイミングで
『フフッ笑お眠な姿も可愛いです。』
つい本音が出てしまった
目が殆ど閉じている彼女を見て
彼女の酸っぱいようで甘い彼女の匂いに心を揺らされながら思った
こんな1人の女性に対して好意を持ったのも
親でもない誰かを家に招き入れるのを
こうして今、人を押し倒しているのも
全てが今までの私には無い経験だ
彼女の匂いを真似ていた私はリップ音と共に
本当の意味で彼女の匂いへと変わった__。
コメント
2件
おっと…大分これはすげぇぞ…✨️ レモンをここで活かしてきたかーっ!!センス良き(๑•̀ㅂ•́)و✧