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#執着
さぶれ
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ruruha
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コメント
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らむらむさん、第7話読ませていただきました…! 塁が桜子の頬を叩いた瞬間、胸がぎゅっとなりました。あれは拒絶ではなくて、むしろ彼なりの必死な守り方なんですよね。「金貸しの女にはなれん」と言いながら、最後にそっと涙を拭う仕草がもう…。塁の優しさと哀しさが同時に迫ってきて、切なくてたまらなかったです。 それに、桜子が「塁は子供の頃と変わっていない」と気づく場面、すごく好きです。15年の想いが報われない形で終わっても、彼の本質をちゃんと見つめ直せたからこそ、最後の「ずる賢い女になって驚かせたる」という決意に説得力を感じました。強くなろうとする桜子を応援したくなります。 塁の「お前と再会せんかったらこんな事せんでも済んどった」という言葉、私はあれが彼なりの"特別"の伝え方だったんだろうなって思いました。意地悪だけど、だからこそ胸に残ります。 次話も楽しみにしていますね🌷
「今夜だけでいいから私の事抱いて…。」桜子の口からこぼれ落ちた… その不埒な懇願……
ホテルの部屋にその言葉が落ちて…
時が止まったような沈黙が流れた後……
パシっ…!
部屋に桜子の頬叩く乾いた音が響いた…。
「っ……!」
塁は…感情の置き場に困ったような表情で眉間にしわを寄せて桜子の頬を叩いた… 塁自身桜子に手を上げるような真似はしたくなかった…
が、敢えて塁は桜子の目を覚まさせるため…自分に対する嫌悪感を抱かせるためにそうした…
「ええ加減目覚まさんかい…そない簡単に男に抱かれて……恥ずかしないんか……お前……夜の女として……………そんな中途半端な玉やったんか!」
ドスの効いた声で塁はそう問い詰めた。
「………何よ!塁は…人の体どうなろうがどうでもええんやろ!?”金貸しとして”とか”夜の女として”とかさっきから肩書きの話ばっかりやん……私の事…一人の女として見てよ!」
「わしは腐っても金貸しや…。それ以上それ以下でもあらへん!借金返済した今のお前の体に手出す権利なんぞわしにはあらへんのや。」
桜子はその言葉に更に語気を強めた。
「私は…塁に一人の女として1ミリも興味持ってもらわれへんの!?私が他の男にもこういう事言ってきたとでも思ってるん!?」
桜子は涙目になっていた…
「…………っ。」
塁はその目を直視する事が出来ず思わず視線を逸らした。
「こんなんやけど…。私だってそのくらいの女としてのプライド残ってるわ!」
その言葉に塁は何かを飲み込むように瞼を一度閉じて溜息をつきながら視線をまた桜子の方に戻した
「……はぁ…。」
ぐい………
塁はおもむろに桜子の両肩を持ち自分の方へ強く引き寄せた。
「ぁっ………。」
唐突に引き寄せられた体に桜子の口から思わず声が漏れた。 塁は桜子に顔を近付けまっすぐに目を見つめながら口を開いた…
「……ほな、キツイかもしれんけど正直に言うたる…金貸しと女が一緒になってお互いが潰れていくとこ…わしはこの目で何遍も見てきた………。」
そう話す塁の瞳も僅かに揺れていた…。
「……わしと一緒になったらお前が潰れる…お前がわしの銭を揺する標的にされてまう……。それで名前も住むとこも変えなあかんようなった女…見てきた……。それが銭の呪いや…。」
「そんな……。」
「そやから何言われてもお前のことは抱かれへん。」
「………グスッ。」
「それに…こないすぐ泣く女…金貸しの女にはなれん…。」
「もう泣かへんから…!」
その言葉に塁は少し俯き…視線を窓の外に向け何か考え…そして口を開いた…
「そやけどお前は…ええ女や。 金貸しやなくて……もっとマシな男に抱かれる女になれ…わかったな?」
そう言うと、塁は桜子の頬を流れ落ちる涙をそっと拭った。
「こんなん…こんなんずるい!余計に離れたくなくなる…。」
「そのうちまたどっかで会うことになるやろ。ミナミの街は狭いからな。まぁ……会わんほうがええかもしれんけどな…。」
「ミナミの街に居てるの分かってて会われへん方が辛いわ…。」
「ふっ…。そんなもん半年もしたらわしのことなんぞ忘れとるわ。ミナミに残るも去るもお前次第や。ほな…わしは帰るで。」
サッ……
塁は桜子から体を離して扉へと歩を進めた。心なしか先ほどに比べて遅い足取りで…
「塁っ…!」
部屋を出ようとドアノブに手をかけた塁を必死に呼び止めた桜子。
「あんたこうやって………何人も泣かせてきたんやろ…ほんま鬼やな……。」
「ふっ……さあどうやろなぁ……。お前と再会せんかったらこんな事せんでも済んどった………。ほな…達者でな。」
カチャッ
バタン………。
片方の口端を上げ意地悪な笑顔を浮かべながらそう言い残し扉を開け去っていった塁…。
塁が去ってから桜子はしばらくなにも考えることが出来ず部屋の中でただ立ち尽くしていた。
“お前と再会せんかったらこんな事せんでも済んどった…”
まるで塁にとって桜子が特別だと遠回しに伝えるようなあんな言葉を最後に残して去っていった塁…。 最後まで意地悪な男だった。
でもこれで終わった…
15年間想い続けてきたその想いが終わった。
桜子が願った形にはならなかった。
けど、どこかこの結果に納得していた。
“塁は金貸しになってミナミの鬼とまで呼ばれる男になっていたけど、 本質のところは子供の頃と何も変わっていない気がして。それが妙に嬉しかった。 もしあのまま塁に抱かれていたら…その気持ちも揺らいでいたかもしれない。 ただの振られた言い訳かもしれんけど……… ” 桜子はそんなふうに思った。
塁が部屋を出ていって塁が残していったタバコの残り香が充満している少し時間が経ち、冷静になった桜子。
今更ながら何故”抱いて”なんて、あんなとんでもないお願いをしてしまったのか…。
後悔と恥ずかしさが襲ってきた。
「なによ”抱いて”って…。 私、アホ過ぎるんやけど …。」
桜子は後悔の念を抱きながら部屋のソファーにうなだれるように座り込んだ。 だが、なんの悪戯か神様は塁と桜子を再び引き合わせた。
そのことで桜子は改めて大事なことに気付かされた気がしていた…
自分の生きる道は自分で決める。 誰のせいでも誰のためでもなく、自分の責任で自分のために。
そう思わせてくれた塁。
桜子が塁を好きな気持ちはそう簡単には変わらないであろう…。だが、ミナミの鬼を好きになった桜子は前より少しだけ強くなれた気がしていた…
「いや…もっと…ずる賢い女になって驚かせたる。……ええ女になってまた戻ってくる……塁に会えたときのために……。」
桜子はそう心に誓って、一人その部屋を出た……
塁の軌跡を無意識に追うようにして……