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康二は黙って岩本の後ろを歩いた。少し歩いただけなのに、凄く遠く感じた。
岩本「後悔しないのか?」
向井「後悔?」
岩本「多分、知ったら少なからずショックも受けるだろう。場合によっては、ここを辞めたいと思うかもしれない。それでも知りたい?」
向井「怖い、けど…知りたいって気持ちの方がでかくて…」
岩本「わかった。悪いけど、責任は取れねえよ?」
康二はゆっくり頷いた。
頑丈な扉の前。ここに立つのは2回目だ。岩本は壁にある手の平くらいの装置に手をかざした。
ブォン…
と機械的な音が鳴り、”ロック解除”という文字が光る。岩本が扉を開くと、中は薄暗く涼しかった。どうやら、ホテルのように奥へ続く長い廊下があり、両脇に客室のように部屋がいくつもあるようだった。
康二は咄嗟に岩本の腕を掴んだ。
岩本「怖がることねーよ。」
ドサッ…
岩本「…康二?おい、康二。しっかりしろ!」
急に視界がぼやけ、立っていられなくなり、気付いたら気を失っていた。
向井「んっ…」
どれくらい時間が経っただろう。気付いたら自室のベッドに寝ていた。
深澤「おい、康二?…大丈夫か?」
向井「ふっかさん?あれ…照、くんは?」
岩本「ごめん、康二。体調悪かったの気付けなくて…」
向井「俺、倒れて…そのあと……」
深澤「照から電話もらったんだ。康二の部屋どこだって。…ったく、あの部屋は行っちゃダメだって言ったのに、照が連れてったら元も子ねーだろ?理事長にバレたらどーすんだよ!」
怒ってはいるようだが、岩本には心を許しているのか、やれやれ。という口調だった。康二は少し安心して、クスッと笑った。
深澤「なーに笑ってんだよ」
向井「いーや?仲ええんやなー、と思って!」
岩本「仲良いとか悪いじゃなくて、ふっかとは一心同体みたいなもんだからな(笑)」
深澤「いやー、でも安心したわ。新しい環境だったから疲れ溜まってたんだろうな。ゆっくり休めよ?」
そう言って康二の頭を撫でた。
その瞬間、身体中に電流が流れたような感覚に陥った。再び、視界がぼやけ始めうまく息ができなくなる。
深澤「…康二?」
岩本「おい、これって…」
深澤「っ、マジかよ…こんな強いの…耐えらんねえ…」
岩本「…っはあ、…なんで、俺まで…っ、」
バンッ!!!
「うわ!!なんだこれ!!、康二!これ飲んで!早く!!!」
意識が朦朧とする中、誰かが部屋に飛び込むなり康二に錠剤と水を飲ませた。すると一気に眠気に襲われ、康二は深い眠りについたのである。