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阿部「ふっかさん!照くん!大丈夫ですか!?」
深澤「…んっ、阿部ちゃん?」
阿部「良かった。康二、薬効いたみたい。」
岩本「阿部…どういうことだ?」
阿部「日本ではまだまだ少ないけど、世界中には俺らの知らないバースの染色体を持った人がたくさんいるんです。そういう特殊なバースに効く薬を飲ませました。特定のバースに対しての薬ではないけど…副作用は眠くなるだけなので、問題ありません。親が、護身用に持たせてくれてたので…」
深澤「ああ、阿部ちゃんの親って薬剤師だっけ?」
阿部「はい。母が薬剤師で、父が医者です。母はバースの研究員でもあるので、そういう知識は幼い頃から教え込まれたんです。」
岩本「ナイスプレーだわ、本当に助かった。ありがと。」
3人とも、初めて感じたフェロモンに興奮を覚えつつ、とりあえず危機は回避できてホッと胸を撫で下ろした。
阿部「俺もびっくりしましたよ…ここ最近勉強漬けで、学校に寝泊まりしてたんですよ。今日こそは洗濯しなきゃって思ったのに忘れてて、夜中なら誰も洗濯しないだろうと思って洗濯しに廊下歩いてたら、今まで感じたことない強烈なフェロモンを感じて、辿ってきたら康二の部屋で。康二はオメガバースの染色体を持ってないって聞いてたから、もうパニクりました。中入ったら案の定、康二がどエライフェロモン撒き散らしてたから俺もヤられそうでした…」
深澤「ほんとタイミング良かったわ、ありがとな。でも康二、染色体持ってないはずなのに…このフェロモンをみんなに嗅がれたら大変なことになるよな…明日理事長に謝りに行ってもう一度バース検査してもらうか。」
阿部「もしかしたら突然のフェロモンに触発されて覚醒したのかも。成人するまでは安心できないから。それに、あの薬が効いたのなら、康二はほぼ100%オメガバースです。俺、親に抑制剤送ってくれるように頼んどきます。」
岩本「分かった。明日、康二を1人にするのは不安だから、阿部みててくれるか?くれぐれも康二には触れないように。」
阿部「はい、わかりました。不安なので、俺今日は康二の部屋に泊まります。 」
深澤「ひとりで平気か?」
阿部「大丈夫です。それより俺はふっかさん達が心配です。あんなに強烈なフェロモンを嗅いだんですから、ゆっくり休んでください。」
岩本「ありがとな。阿部も無理すんなよ?」
そう告げると、深澤と岩本は部屋を出て行った。
静かになった部屋で、阿部は愛おしそうに康二を見つめ、舌なめずりをした。
阿部「…やっと、見つけた。」