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39 - 第2話:ヤマトコインの噂

2025年09月26日

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第2話:ヤマトコインの噂



配信の幕開け


「こんばんは〜、“はごろもまごころ”だよ!」


まひろは、深緑色のスウェットにベージュのハーフパンツ。髪は少し寝癖が残って跳ねており、足元には色あせたスニーカー。子どもらしい無垢な瞳でカメラを見つめた。


「ねぇミウおねえちゃん……大和国って、すっごいお金持ちなんだって。ぼく、そんなにお金あったら何ができるんだろうって思っちゃった」


隣のミウは、モカのタートルニットに薄紫色のプリーツスカート。髪は耳の後ろでふんわり結ばれ、小さなイヤリングが光っている。

彼女は柔らかく首をかしげ、笑みを浮かべた。


「え〜♡ たしかにねぇ。お金がいっぱいあったら、土地だって、国だって買えちゃうのかも♡」


コメント欄が一気にざわつく。

「国を買えるの?」「そんなの本当にできるの?」「ヤマトコインって何?」





Zの仕掛け


暗い部屋で、**Z(ゼイド)**は緑のフーディにキャップ姿。

彼のモニターには、架空の通貨システム「YamatoCoin」がリアルに動いているかのような映像が表示されていた。


ブロックチェーン風の画面、取引所の数字が上下に点滅。

投資家向けに作られたフェイクの資料には「裏付け資産:大和国領土」と赤字で強調されている。


Zは口元を歪めて笑う。

「はごろも党の広告収入を“初期投資”に見せかければ十分だ。あとは勝手に投資家が群がる」


同時にBotがSNSに投稿を開始する。

「#ヤマトコイン爆上げ」

「#次世代通貨」

「#国を買える時代」





レイNewsの追撃


その夜、レイNewsに記事が並んだ。


「大和国、莫大な資産を持つと報道──通貨“ヤマトコイン”登場」


「経済専門家『領土買収も夢ではない』」


「投資家殺到、問い合わせ急増」



記事には「根拠は確認中」と小さく添えられていたが、読者はそこに目を留めない。





混乱と熱狂


翌日、金融掲示板や投資サロンは「ヤマトコイン」で埋め尽くされた。

「早く買わなきゃ損する」

「新しい国が通貨を出すなんて歴史的だ」

「領土を買えるなら、絶対に価値は上がる」


市民は次々に手持ちの資産を仮想口座に移し、ヤマトコインを買おうと殺到。

だが実際には、Zの作り出した“映像と数値”しか存在していなかった。





無垢とふんわり同意


その夜の配信。

まひろは深緑のスウェットの袖をぎゅっと握り、無垢な瞳で語った。

「ぼく……ただ“お金がいっぱいあったら何できるんだろう”って思っただけなのに、みんな本当にコインを買っちゃった」


ミウはふんわり笑みを浮かべ、イヤリングに触れながら語った。

「え〜♡ でも、それってすごくない?

“考えたこと”が現実になっちゃうなんて……やっぱり世界って面白いよねぇ♡」


コメント欄には「ありがとう」「ヤマトコイン買いました」「未来が動き出した」で埋まった。





結末


Zはモニターの取引画面を見つめ、にやりと笑った。

「通貨は存在しない。だが数字と噂があれば、国だって作れる」


画面の隅には次の計画が映っていた。

――「ヨーロッパ港湾都市、買収完了」






無垢な問いとふんわり同意、その裏で“ヤマトコイン”は世界を揺らし、領土さえ金で買えるという幻想を現実にしていった。

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