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「——今日からここが、君の家だよ」
仕事終わりに専務の車に乗せられ、たどり着いたのは都心を見下ろす超高級マンション。
専務──いいや、涼さんは、私の荷物…
といっても、スーツケース一つ分だけれど
それを軽々と持ち上げ、エントランスを進んでいく。
「あの、涼さん!荷物は自分で持ちます!」
「いいんだよ。今日から君は、僕の大事な奥様なんだから。これくらいさせて?」
涼さんは振り返って、蕩けるような笑顔を見せる。
会社で見せる「完璧な上司」の顔に、少しだけ「甘い熱」が混ざったような表情。
部屋に入ると、そこにはすでに私の好みに合わせたような、温かみのあるインテリアが整えられていた。
「君の資料を少し見てね。落ち着ける色を選んでみたんだ。気に入ってくれると嬉しいな」
「……私のために、わざわざ?」
「もちろん。君が快適に過ごせるようにするのが、僕の今の『仕事』だからね」
専務はキッチンへ向かうと、手際よくハーブティーを淹れてくれた。
ハイスペックで、家事までこなせて、性格もいい。
神様は彼に何物与えれば気が済むんだろう。
「さあ、琴葉さん。これから二人のルールを決めようか」
「は、はい。まず、会社では絶対に内緒、ですよね?」
「そうだね。社内では、早々に騒がれると困るから。親に紹介するまでは今まで通り専務と部下だね」
涼さんは私の隣に座ると、すっと腕を回して私の肩を抱き寄せた。
驚いて体が固まる私に、彼は耳元で熱い吐息を漏らす。
「はは、緊張してる?」
「い、一ノ瀬専務がこんなに近くにいたら誰でも緊張しますよ……」
「ふふ、可愛いね。本当は、会社でもこうして抱きしめたいくらいなんだけど…」
一瞬だけ、彼の声が低く、温度を失った気がした。
けれど顔を上げると、そこにはいつもの爽やかな王子様の笑顔。
「それとも、怖がらせちゃったかな?」
「い、いえ……!」
「まあどちらにせよ、お詫びに明日の朝は僕が朝食を作るよ。琴葉さんはゆっくり寝ていて」
優しく頭を撫でられ、私の心臓はもう限界。
優しくて、過保護で、完璧な旦那様。
でも、時折見せるその強い視線が、ただの「契約」ではないような気がして───
翌朝
会社で冷徹に指示を出す「一ノ瀬専務」を見たとき
私は昨夜の甘い時間を思い出して、顔が赤くなるのを必死に抑えるのだった。