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#幽霊
凛道桜嵐 新
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#日常
がくじゅつてき・あかげ
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わーい
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木曜日。千歳はるんるんで八景島シーパラダイス(水族館)まで出かけていった。
『じゃー行ってくるな! お前も出かけるんだろ?』
「あ、うん、狭山さんと会うんで」
俺は千歳に隠れて見守りしなければならないし、帰りが千歳より遅くなったらバレるので、狭山さんに会って遊ぶと千歳には言ってある。狭山さんとは口裏合わせ済みだ。
俺は眼鏡と黒マスクと帽子で顔を隠して、緑さんが回してくれる車で水族館に先回り。緑さんもサングラスをして髪型を変え、それなりに変装している。
「千歳ちゃん、どうでした?」
緑さんは心配そうだ。
「楽しそうでした。友達と遊ぶってことを疑いもしてない顔でしたよ」
「そうですか……」
「一応ですね、事前に千歳に「錦くんは千歳と友達以上の関係になりたがってると思うよ?」って聞いたんですけど『親友ってことか?』って返ってきたんで、本当に千歳はニブいということはお伝えしたく……」
「本当にニブいですね、それは……」
先回りして八景島駅の出口を見張っていると、人混みの中、錦くんが待っていて、そこに千歳が来た。
『ごめん! 待ったか?』
「いえっ、僕も今来たところなんで!」
いや、かなり待ってただろ……いや気持ちはわかるけどさあ! 俺だって千歳と待ち合わせなら、なるたけ早く行くし、いくら待っててても苦じゃないよ!
その後、俺達は二人のデートをずっと尾行した。千歳と錦くんは、光あふれる水中トンネルを歩き、泳ぐイルカを見てはしゃいだり、サンゴ礁を泳ぐ色とりどりの魚を見て写真を撮ったりしていた。
笑う千歳の横顔と、嬉しそうな錦くんを見て俺は思った。これ、千歳がわかってないだけで、もう完全にデートだよ……ティーン二人の、初々しいデートだよ……。
いや俺だって千歳ときゃっきゃしながら動物園行ったからな!? いや千歳は1ミリたりともデートと思ってないんだけど!
千歳と錦くんは本当に楽しげに水族館を周り、お昼近くなってレストランがある棟に向かったので、俺と緑さんもそっちに向かった。
「見失った時用に人集めといたんですけど、見失いませんね」
「まあ見守る方針で……」
とは言っても、俺の心中はあんまり穏やかじゃなくなってきてるのだが……だって二人の姿は、本当に中学生のかわいらしいカップルなんだもん。
千歳と錦くんはハワイアンカフェに入ったので、俺達もそっと入った。
千歳はにこにこでメニューを見ていた。
「シフォンパンケーキ、食べてみたかったんだ、ありがとう!」
「いえ、好きなもの食べてほしかったですから」
ああ、錦くんの提案でここ入ったのか……錦くん、千歳の好みを聞くなり感じるなりして、千歳の好きなところ選べてるんだな……。
千歳は喜んでふわふわパンケーキをもふもふ食べ、錦くんも喜ぶ千歳をみながら嬉しそうにロコモコを食べていた。うん、そうだよな、好きな人が嬉しそうに食べてるとうれしいよな、わかるよ……。
その後も、二人はペンギンパレードやイルカとのふれあいを楽しんで、それから駅の方向に向かい始めた。帰るようだ。
緑さんがホッとしたように言った。
「何事もなく終わりそうですね」
俺は違う意見だった。
「いえ、多分これからですよ」
予想通り、駅で別れる前、錦くんは「ちょっといいですか?」と立ち止まった。
『うん、なんだ?』
千歳も立ち止まり、首を傾げた。
錦くんは言い淀み、しばらく逡巡して、けれど、勇気を出したように言った。
「今日すごく楽しかったです」
『うん、ワシも楽しかった!』
「あの……千歳さん」
『うん』
「好きです、付き合ってください!」
錦くんは思い切り頭を下げ、千歳は『……へ!?』と目と口をまん丸にした。
コメント
1件
うわあ、錦くんついに言った…! でも千歳の「……へ!?」って反応、完全に想定外すぎて笑っちゃったけど、同時に「だよね、そうなるよね」って気持ちにもなりました。主人公の「気持ちわかるから見守りたい」ってスタンス、錦くんにも千歳にも共感できてて、デートを尾行しながら内心モヤモヤしてる様子が伝わってきて微笑ましかったです。続き、気になります!