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ヤハウェと呼ばれる神が居た。
そしてルシファーと呼ばれる悪魔が居た。
神は崇め称えられていた。
悪魔は邪険に扱われていた。
神は良い者だと思われていた。
悪魔は悪い者だと思われていた。
さも当然のように。
誰も疑いはしなかった。
悪魔が産まれる前、光り輝く天使が居た。
神は誰にでも好かれる天使を嫌った。
天使は酷く悲しんだ。
いくら天使と言えども神に嫌われようが別に良い、とはあまり思えなかった。
天使は神の事を苦手だと思った。
嫌いとは言わなかった。
それは天使だからか、はたまた天使だと取り繕いたかったからかは定かではない。
天使が神に反逆し、天界を追放された。
これは作り話だ。
私だけが知っている。
今後この話が受け継がれるのならその受け継がれた者達だけが知る事になる。
天使は神を苦手と言っただけで反逆などしなかった。
ただの神の傲慢さだ。
大抵の場合、神は全て持っているのだから寛大だろうと思われる。
だが、このヤハウェという神は違った。
いつになっても傲慢だった。
そして皆から好かれる麗しい天使を堕天使にまで貶めた。
その果てで、
地獄の王とまで呼ばれる悪魔になった。
醜い話だ。
悪いのは神だけで、天使も悪魔も同一視されており決して悪くはない。
悪くはないのだ。
神なのに傲慢なのか。
神だから傲慢なのか。
神だけが傲慢なのか。
私には答えを出せなかった。
きっと私も悪いから。
堕天使になんてならなければ私は悪魔にはならなかったから。
天使のうちに消えていればそれで済んでいただろうから。
時を戻す力が手に入るのなら、
私はそれを使って天使の頃に戻るだろう。
そして天から真っ逆さまに堕ちて
誰にも見付けられぬまま消えるだろう。
そうしたいのだ。
私は天使で堕天使で悪魔なのだから。
人を救うことはできないのだから。
神に逆らうこともこの先無いのだから。
消えて居なくなりたかったのだ。
また眩い光に包まれて天使だと言われるようになれるのならそれでも良い。
本当はそれが良い。
寂しくてイルミネーションが輝く人の世界に雨を降らしてしまうくらいなら、私はもう一度天使になりたい。
綺麗な羽を光の中で羽ばたかせたい。
綺麗な雲だね、なんて言う人間の声に耳を澄ませてその上に私が居るんだよと小さな声を空に響かせたい。
きっと叶わない。
天使にも悪魔にも神にだって
サンタさんとやらは来てくれないから。
何も叶えてくれないだろう。
私が欲しいものもくれやしないだろう。
私が今欲しいものは
光に満ちた世界にある人間の笑顔だ。
貴方が欲しいものを届けられる美しい羽だ。
神に誓おう。
私は聖なる夜に天使に戻る。
コメント
2件
やっぱりりーちゃのストの表現とか書き方超絶好き‼️😻 神と天使ってめっちゃ相性良さそうに見えるけどこのお話では天使は神の事苦手なのまじ良い🥹💞 素敵なクリスマスプレゼントありがとう💖
素敵なクリスマスと良いお年をお過ごしください🍎