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「ちょっ、それはどういうことですか?業務提携はともかく、僕と美月との離婚って。なぜそういった話になるんでしょうか!?」
孝介が声を大きくした。
「私も突然そのようなことを言われ、理解できません。説明をお願いします」
お義父さんも眉間にシワを寄せている。
「まずは、僕宛てに一種の告発が入ったのがキッカケでした。提携を結ぼうとしている九条グループ社長のご子息である孝介さんが会社のお金を横領していると」
「はっ!?」
孝介の顔色が変わった。
「例を言えば、接待交際費、備品等の改ざん。また、会計係と共謀して給料とは別に会社の資金を自分の口座に振り込ませていたようです」
そんなことしてたんだ。私でも知らなかった事実。
「証拠はあるんですか?」
お義父さんが冷静に問いかけた。
「もちろんです。佐伯、映像を」
「かしこまりました」
亜蘭さんがパソコンを操作すると、ある映像が映し出された。
そこには旅館のようなところに映っている孝介と――。
孝介の隣には女の人もいる。
あれ、この女の人って……。美和さん!?
<すみません。領収書をお願いします>
映像の中の孝介は、フロント係の人にそう伝えている。
「これは、普通に出張に行った時ですよ?」
目の前の孝介は弁解をしているけど……。
<孝介さん、すごい。会社のお金を自由に使えるって。さすが次期社長だね。これからもいろんなところ旅行に行こうね>
美和さんが孝介の右腕を掴みながらそう言った。
<うん。行こうね。こういう時、親が一流企業の社長って楽だよな。領収書なんて深く詮索されないし。ま、したくても怖くてできないんだろ?>
映像の中の彼は<ハハハハハッ>と楽しそうに笑っていた。
「いや、これは……。あのっ」
言い訳が見つからないのだろうか、言葉に詰まっている。
次に映し出されたのは、数人の男性と孝介が夜の街にいるところ。
<今日は俺の奢りだから。って言っても、会社の金だけど。接待交際費で落とすから、どんどん飲んで?あ、この後、風俗行かない?それも俺が出すよ。それも会社の金だけどな>
映像の中の孝介はお酒を飲んでいるのだろうか、多弁だ。
<え、風俗も会社の金で落とせるんですか?>
<風俗っぽくない店の名前ならわからないって。社員なんて、何千人もいるんだぜ。但し書き、飲食代としてって書いてもらうし、店が飲食店っぽい名前ならわからないよ。まぁ、わかっても父さんの力でなんとかしてもらうけど>
<さすがっすね!>
社員らしき人も上機嫌のようだった。
「あっ、これは……。冗談ですよ、冗談。あとで自分で払いましたからっ!」
目の前に居る孝介は、汗をかき始めている。