朝の教室。
基本、ショートホームルームが始まるまでの時間と言うのは騒がしいものだけれど、今日は特に五月蠅かった。
「……ねぇねぇ!エリカ!!今日転校生が来るんだってさ。学級委員の子が言ってたんだよ!!!」
自席に着くなり、前の席の幼馴染・ミヤがまくしたててきた。オタク特有の早口についていけるようになったのはひとえにミヤの機関銃攻撃のおかげだと思っている。
「朝からうるっさいなぁ……。あたし、そんなことどーでもいいし」
あたしはミヤと違って、そこまで二次元的な世界に入り浸ったことはない。だって、現実と比べてしまって、なんだか空しくなるでしょう。
どんな子が来るんだろう?女の子かな、男の子かな?
そんな声があちこちから聞こえてくる。みんな、新しいクラスメイトに大層関心がおありらしい。
その瞬間。
乱暴にドアを開ける音が教室中の騒がしさを上回る音で響いた。
途端に静まり返る教室。
「ったく。朝からピーピーうるせぇんだよ黙っとけクズ」
ぼそ、と。
気だるそうに吐き出された一言は、物音ひとつしない室内に反響した。
皆が、そろって黒板前のドアを凝視する。
金髪の美少女が、こちらを冷たい目で睨んでいた。
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