お土産を買って 外に出ると秋になりかけている冷たいカラッとした風が顔の横をつっきる。
「、、、ねえひすいくん 。」
しぐれくんの声がする。
横を見ると今にも吸い込まれそうな青色の瞳。
「どしたの?」
聞き返す僕。
「ありがとう。」
「へっ!?」
まさか今だとは思わなくて変な声が出てしまった。
「おれ、ひすいくんのおかげで変われた。この瞳だって前まではただのコンプレックスでしかなかったけど、今は精一杯胸を張ってこうやって町中を歩き回れるんだ。」
「それはしぐれくんがすごいからだよ。」
思わず否定してしまう。実際、しぐれくんが頑張ったから変われたのに。
「そうひすいくんが思ってても、俺からしたらすごいことなんだ。俺は自分のことばっかしだったけどひすいくんは俺のことよく見てくれてたし。 」
少し照れくさくなって下を向く。
「、、、ありがと。」
「それでさ、」
しぐれくんが言う。
「どしたの?」
「なんか、あった?。」
真剣な顔で聞いてくるしぐれくん。
「いや、なーんも?」
ちょっと無理矢理笑顔を作って答えてみせる。
「それなら、いいんだけど、、、なんか、辛そうだったから。なんかあったらすぐ頼っていいんだよ。」
やっぱり、しぐれくんにはバレちゃうか。
しぐれくんは優しいから僕のことを気遣って無理矢理聞こうとはしてこない。けど、しぐれくんは嘘をつくのも苦手。
オッドアイだって僕らは薄々気づいていた。今回は、決定的証拠があったから聞いちゃったけど。
つまり、遠回しに、僕に何かあったということがわかっちゃうことを隠せないんだ。
「しぐれくんは気づいてるんでしょ?」
一瞬驚いたように目を見開き、こう答える。
「、、、うん。」
彼は続ける。
「なんか、辛いことあったでしょ。今じゃなくてもいいから、俺らのこと、もっと頼ってほしい。」
「ありがとう。本当にしぐれくんは優しいね。」
その後、僕は続ける。
「ホテルに戻ったら、教えてあげる。」
「僕の、カコを。」
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