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ジーク「いや本当にこうなってくると、不正に渡る選択肢もあると思うんだけど…。」
アリィ「この距離は無理でしょ…。」
ジーク達は橋から離れた場所で川を見ながら会話をする。
アリィ「…ねぇちょっとお腹空いたし、何か食べない?」
ジーク「…小腹減ったしそうだな。」
アリィ「あっちに、露店販売のお店があってみんな美味しそうだったんだ。行こう!」
ジーク「分かった。」
アリィ「うーん…」
ジーク「まだ決まらないのか?」
アリィ「いや…決まりはしたんだけど…ほらここ。」
アリィはそう言って露店に貼り付けてある張り紙を指さす。
アリィ「家族割はあるのに…カップル割はない…。」
ジーク「かっ…!?」
アリィ「もし橋を渡るんだったら節約に越したことはないもんね。」
ジーク「あっ、ああ…そうだな。」
アリィ「まぁしょうがないか…。すみませーん!クェトル鳥の焼き串1本!ジークは?」
ジーク「同じの1本。」
アリィ「わかった。すいません、さっきの2本で…」
突如二人の肩に何かがのしかかり重みがかかる。
???「後、マロウの飴串2本追加で!」
アリィ「!?」
アリィがバッと後ろを向くと、そこには筋肉質な女性がいた。そしてアリィ達を腕で抱いている。
ジーク「ぇ…!?」
女性はしぃーと口を鳴らす。
女性「家族割使える?」
店主「もちろん。」
女性「もうあんた達欲しいなら言ってくれれば良かったのに。急にはぐれて…どこ行ってたんだ?」
アリィ「え、えぇと…」
ジーク「…だって母さん買い物長いじゃん。」
アリィ「!?」
(なにこれ!?どうすればいいの!?)
混乱してるアリィをよそに女性は店主と和気あいあいと話している。
店主「出来たよ。」
女性「ありがと!」
女性「いやー!マジありがとう!話し合わせてくれて!」
ジーク「いえ…安く済んだんでこちらこそ。」
アリィ「凄い助かったけれど…あの、どちら様で…」
3人は串に刺さった食べ物を食べながら人通りの少ない道に座って会話する。
女性「あれ?名乗ってなかったっけ?アタシはアマラだ。ここの物全部高くってさ…ちょっとでも安くしたかったんだ。急に来てびっくりしただろ?悪かったな。」
アリィ「いえ…。アマラさんは、地元の人じゃないの?」
アマラ「あぁ。ここは地元じゃないな。ウチの頭からの命令で、時の国の現状調べて来いって言われててさ。それでだ。ついでに出来そうなら問題なんとかしろなんて言われたけど…すっげぇ無茶ぶりだよ。」
ジーク「問題を解決しろって…国のスパイでは無いんだろうけど…それ言う人ってどういう人なのか全くわからなくなったな…。」
アマラ「まっ色々あるのさ。」
アリィ「時の国の問題って…分断のこと?」
アマラ「そうだ。橋には行ったか?」
ジーク「行ったけど…馬鹿みたいな値段吹っかけられたよ。」
アリィ「もう…まだ怒ってるんだから…そんなずっと眉間にしわ寄せてると、元に戻らなくなるよ?」
ジーク「えっまじ…?」
アリィ「信じるか信じないはジーク次第だよ。」
ジーク「なんだそれ…。」
アマラ「あの橋に行ったなら噂も聞いただろ?奴隷とか色々。」
アリィ「うん。」
アマラ「そのままってのも良くないし…私は国に雇われてるわけじゃないが頭の意向でね、色々尽力してる訳さ。で、長いこと泊まってるせいで出費が嵩んでるわけだ…。」
アリィ「あらら…野宿はしたくないもんね…。」
アマラ「…しかしどうしたのものかねぇ。解決しろつったって事が複雑というか…。」
ジーク「アリィ、今いくら持ってる?」
アリィ「え?急に?」
アリィは困惑しながらも、バッグからがさがさと通貨が入った袋を出す。
アリィ「…ちょっと心許ないかな…。」
二人は袋の中を覗きながら会話をする。
ジーク「砂漠には悪魔がいなかったし…金になるものがなかったからな…。そもそもここで、ものを売っても大した値段にならなさそうだが…。」
アリィ「でもこれがどうしたの?」
ジーク「ちょっと気になることがあってな。よし…。アマラさん。」
アマラ「?」
ジーク「さっき言ってた仕事手伝ったらお駄賃とか貰えたりしない?」
アリィ「…ジークさっきの話聞いてた?」
ジークはアリィにこっそりと耳打ちする。
ジーク「恐らくこいつは倹約家なだけで、金持ちだ。身なりがしっかりしてる。」
アリィ「…なるほどね。」
アマラ「…働き具合にもよるが…ま、タダでという訳には行かないな。手伝ってくれようとするのはありがたいが…」
アリィ「じゃあ手伝わせてくれない?」
アマラ「…分かった。頼もう。…でも危険な事態になったら私にまず伝えてくれ。」
ジーク「よし!」
アマラ(…あの時すぐに話を合わせた適応力。…仕事の話となって殺気を出したアタシにも物怖じしない胆力。…うん、2人で補い合えば十分だろう。警戒力もある。後は秘密を守れるかどうかだが…これから試せばいい。)
アリィ「……。」
(仲間になったというのに、殺気を消そうとはしないんだね。…まぁいいや。…私はそれよりも酷いものを知ってるから。)
ジーク「それでこれから何をすればいいとかあるか?」
アマラ「そうだな…とりあえず長くなると思うから…宿はとったか?」
アリィ「ううん、取ってないよ。」
アマラ「じゃあ取ってきてくれ。少しは負担しよう。」
そう言ってアマラは通貨を空き袋に何枚か入れて渡す。
アマラ「とりあえずこれだけあれば、特に困りはしないはずだ。」
アリィ「ありがとう、凄い羽振りがいいね。」
アマラ「ヒトとの繋がりは大切にするよう頭に言われてるからな。」
ジーク「これをこのままくすねるという選択肢もあるが…」
宿のベッドに座りながら、ジークはそんな恐ろしいことを呟く。
アリィ「勝てると思う?」
ジーク「いいや。無理だろうな、あれはプロだ。大人しく仕事の手伝いをしよう。」
アリィ「うん、それがいいと思う。アマラさんの所に戻ろう。ポルポルは…」
ジーク「一応連れていこう。何があるか分からないし。」
アリィ「分かった。」
アマラ「お、おかえり。」
アリィ「宿をとってきたよ。」
アマラ「よし、それじゃあ次は仲間に会いに行こう。」
ジーク「1人じゃなかったのか。」
アマラ「現地で出来た友人みたいなのがいてな。」
門番「…アマラさん、正気ですか?」
アリィ「あっ、入国の時荷物検査してくれたヒトだ。」
アマラ「アタシはいつだって正気だよ。」
門番「…まだ子供だってのに…」
アマラ「意外とこの子達はやれるよ。紹介しよう。コイツはキール。いわゆる内通者って奴だ。」
キール「あの俺、全然子供が参加することには許可してないんですけど。」
アマラ「お前の雇用主はアタシ。だろう?」
キール「ぐっ…」
ジーク「内通者って何か弱みでも握ったのか?」
アマラ「いいや?コイツは金を引っ提げたら釣れたぞ。安心しな。金に目がないだけで悪いやつじゃないからな。」
アリィ「金に目がないやつってもちろん自分達も含んでろくなの居ないと思うんだけど…。」
アマラ「アタシはそうは思わないがねぇ。」
遠くから、もう1人の姿が見える。目を凝らしてみると、それはアリィ達が入国時に荷物検査をした時に居たもう1人の門番だった。
アマラ「二人とも離れるぞ。」
キール「いや、逃げなくて大丈夫。味方につけましたから。」
もう1人の門番はキールの横につき、手を差し出す。
あの時の門番「ということでよろしく。俺の名前はコフリー。」
アマラ「アマラだ、よろしく。」
アマラはその手を握り握手を交わす。
コフリー「コイツから大体のことは聞いてる。」
そう言ってコフリーはキールを見る。
アマラ「こんな上玉、一体どうやって味方につけたんだ?」
キール「それ言っちゃったら面白くないでしょう?」
アマラ「それもそうだな。よし、アリィ、ジーク来な。私が泊まってる宿に案内してやる。今後そこで話すことが多くなるだろうからな。」
アリィ「分かった。」
アリィとジークは大人しくアマラについて行く。
コフリー「あの二人は恐らく、恒陽の国の調査になるだろうな。」
キール「うへぇ大変そうですね。というかこの短時間でお昼食べれました?」
コフリー「問題ない。」
キール「流石ハイスペ〜。」