深夜の静寂に、カチリ、と解錠の音が重く響く。
みこはリビングのソファに深く沈み込み、15分という短い猶予に、ただただ翻弄されていた。
「……バカだよ、みこ。本当に開けちゃうなんて……」
数分前までの配信の喧騒が嘘のように、部屋は冷え切っている。
でも、頬だけが、火がつくように熱い。
星街すいせいは、一度言い出したら聞かない。
でも、今向かってきているのは、パートナーとしての彼女ではなく――。
ピンポーン、と無機質なインターホンが鳴る。
みこの肩が、今日一番大きく跳ねた。
少し肩を上下させ、息を切らしたすいせいが立っていた。
星街「……本当、バカだね。防犯意識、なさすぎ……」
すいせいはみこが返事をする間も与えず、部屋に滑り込み、背中でドアを閉めた。
みこ「……あ、あの、すいちゃん。体調管理って……みこ、全然元気だし……っ」
誤魔化すように一歩下がろうとしたみこの腰を、すいせいの腕が、逃がさないと言わんばかりに強く引き寄せた。
星街「……嘘つき。心臓、こんなにうるさいのに?……足りないって、言ったじゃん」
みこ「すい、ちゃん……」
星街「予約の更新……。今日は、たい焼きじゃ済まないから」
見上げた先、月明かりを背負った青い瞳が、獲物を狙う星のように鋭く、甘く、みこを釘付けにした。
二人の「深夜の予約時間」が、今、静かに幕を開ける。






