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side栗原心
その日、私は若干イライラしながらラボを訪れていた。
「どうだね、成果は?」
私は新しいラボリーダーの皇薫という男に話しかけた。
ひょろりとしたスタイルと少しこけた頬が特徴の男だった。
皇はこちらに振り向きもせずに、こう言った。
「Eシリーズの最新作、ミントの波長に乱れがあります。」
「ほぉ?
覚醒体に堕ちるという事かね?」
「その可能性が高いかと。」
皇は銀縁のメガネを直しながらそう言った。
「ふむ。
止める手段は?」
「今のところありません。」
彼は簡潔にそう答えた。
「それだけかね?
報告というのは?」
「ミントの覚醒体堕ちを止める手段は今のところありませんが…
新たな半覚醒体、つまりFシリーズには期待ができます。」
「Fシリーズ…
しかし…
今までとどう違うのだね?
名称が変わっただけで…」
「いえ、今までの半覚醒体とは決定的に異なります。
Fシリーズは3つの遺伝子から1/3覚醒体を作るからです。」
その言葉に私は多少の興味をそそられた。
「どう言う事だね?
もっと詳しく説明してくれ。」
「今までの半覚醒体は、覚醒体と人間、または覚醒融合体と人間、という遺伝子の組み合わせでした。
次のFシリーズでは、覚醒体、人間、そして、エルフの遺伝子を混ぜます。」
「エルフを…?」
「えぇ、エルフの遺伝子には、暴走や細胞の覚醒化を抑える特殊なDeNAが見つかりました。」
「ほぉ!
しかし…
エルフが居るダンジョンは…」
私の記憶では確かにそれは存在しなかった。
「ありませんね。
ただ、よろず♾️の月野衛輔の仲間にエルフの女がいます。
その女をうまく拉致できれば…」
「なるほど…
しかし、よろず♾️はかなり強いぞ…」
「ミントをぶちこんでみては?
戦闘により覚醒化すれば、さらに強力な兵器となるはずです。」
「うーむ…
柴田がうまく言う事を聞くかどうか…
まぁ、やってみるか。」
私は言った。
「報告は以上です。」
皇はそう言うと、パソコンをカタカタと打ち始めた。
これだから、研究者というやつは…
社交性が全くない。
「分かった。
また、何かあれば報告してくれ。」
そして、私はラボから出て、柴田とミントを呼んでくれ、と秘書に言った。
さて、柴田は命令に従うか?
ミントはうまく戦いの中で覚醒化するだろうか?
不安な点はあったが、それを考えても仕方なかった。
そして、そんな事を考えていると、部屋のドアがノックされた。
「柴田です。
お呼びでしょうか?」
「あぁ、入ってくれ。」
私は言った。
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