テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
俺の好きな人は『太陽』のような人だ―――。
ある日の放課後。
友達と楽しげに話している俺の好きな人。
まさに太陽のような笑顔を周りに振り撒いている彼の名前は曽野舜太くん。
そんな彼に俺は絶賛片思い中だ。
「舜太、今日カラオケ行かね?」
「ええで!行こ行こ!」
「え、舜太も行くの?じゃあ俺も行くわ」
曽野くんはクラス中の人気者。
対して俺はクラスの中心にいる訳でも、特別みんなから好かれている訳でもない、ただの普通の男子高校生だ。
そんな俺が曽野くんとどうこうなろうなど、叶う訳ない。そう思っていたのだが、ある時、転機が訪れた。
「すまん!山中、今日の掃除変わってくんね?今度、山中の番の時は俺がやるから!」
最近仲良くなった佐藤くんが俺にお願いをしてきた。
俺は特に急ぎの用事もなかったので、お願いを引き受けた。
「全然いいよ」
「まじ!?これでバイトに遅れずに行けるわ!まじサンキューな!今度なんか奢るわ!」
「まじ?じゃあチョコ買ってよ。甘いやつ」
「おけ!任せろ!じゃあまたな!」
「うん、また明日〜」
佐藤くんは手を顔の横で振りながらドアへと向かった。が、一瞬だけこっちへ振り返り、
「あ、一緒に掃除する曽野にも一応伝えておいたから!よろしく!」
と俺に向かって言葉を投げた。
「はーい…」
――待って、今、曽野って言った…?
言葉がすんなりと受け入れられず、混乱していると、ドアが開いた音が耳に入ってきた。
振り返ってみると、そこには今俺の頭の中を埋め尽くしている人物が立っていた。
「ごめん!先生と少し話してたら来るの遅くなってもうた!」
「柔太朗くん…よな!よろしく! 」
いつも通りの太陽のような笑顔で俺に手を差し出している彼。
「あ…うん、よろしく 」
俺はその差し出された手を握り返した。
「ほな、ちゃっちゃと終わらせて帰ろうや」
彼はロッカーから箒を取り出し、床を猛スピードで掃き始めた。
少し小走りで箒を床に滑らせている姿が少し愛おしく思えてくる。
「もう十分ちゃう?」
数分も経たずして、彼はそう俺に言ってくる。
「まだ半面だけしか掃除してないけど…」
「だって俺らが掃除せずとも綺麗やん」
この人意外とズボラなのか…?
床を見てみると、確かに汚くは無いが、綺麗というほどでもない。
「綺麗…ではなくない?」
「ほら、まだここら辺にも埃落ちてるし…」
俺がその場所を指で指し示すと、彼はそこをじーっと見つめる。
「んー…、まぁ気にならへんやろ!多分、風でどっか飛んで行ってくれるで」
「よし、机動かして掃除終わりにしようや!」
そう言って、彼は机を元の位置に運び始めた。
真面目そうに見えたけど、案外面倒くさがり屋なんだ。
そんな所も可愛らしいと思ってしまう俺は結構重症なのかもしれない。
その後、教室を施錠し、下駄箱へと向かった。
靴を履き替えた後、帰路に着いたが、方向が同じだったこともあり、曽野くんと一緒に帰ることになった。
こんなイベントが起こるなんて予想すらしていなかったので、実は内心ドキドキしている。
「あ、そや。なんて呼べばいい?」
「別に好きなように呼んでもらえればいいよ」
「うーん…じゃあ、柔!」
「俺のことも舜って呼んでや!絶対!」
いきなりの舜呼び強制に戸惑ったが、距離が一気に縮まった気がしてとても嬉しかった。
「柔はなんか好きなものとかあるん?」
「甘いものは全般的に好きかな」
「ふーん…」
顎に人差し指を置いて、少し考えるような仕草をしたと思ったら、舜から思いもよらない言葉が発せられた。
34
105
「――せや!カフェ行こ!」
「えっ…!?ちょっ…!」
舜に手を引かれ、駅前のカフェへと向かった。
コメント
1件
うわあ、第1話めっちゃ良かった…!「太陽のような人」って言葉が冒頭から刺さるんだけど、実際の舜くんの面倒くさがりなギャップが可愛すぎてヤバい。掃除サボろうとするのに「風で飛んで行ってくれるで」って言い放つ感じ、優しい雰囲気とのズレがたまらん。そして「柔」「舜」呼びに強制移行するとか距離縮まりすぎでしょ〜!カフェに連れて行かれるラスト、胸がきゅうってなった。続きが気になる!書いてくれてありがとうございます🔥