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「いやぁ…カフェとか久しぶりやんなぁ…」
「何食べよ」
舜はメニューを開いて、早速悩み始めた。
一方、俺はというと、状況がすんなりと飲み込めず、ただ呆然とメニューに悩んでいる舜を見つめるしかできなかった。
「柔は?何食べたい?」
「え…あ、じゃあ…これで」
俺は舜から差し出されたメニューの右下に記載されていたチョコレートケーキを指さした。
「お!ええなぁ!」
「じゃあ俺は…これや!」
「すみませーん!!」
舜は店員さんを呼び、俺の分まで注文してくれた。
こういう細かい気遣いができるところが好きだったりもする。
少しして、注文したメニューが運ばれてきた。
俺のチョコレートケーキと舜のフルーツタルトが小さめの机に並ぶ。
「舜のやつも美味しそうだね」
「せやろ!頼んで正解やったわ」
舜はフォークで1口サイズに切ったタルトを口に入れる。
俺もそれにつられてケーキを口にした。
「あ、柔。」
舜に名前を呼ばれ、顔を上げて「なに?」と言おうとすると…
「ん…!」
口の中に甘い味が広がった。
「美味いやろ」
ニコッと微笑みかけてくる舜。
俺はその笑顔に見事に心を撃ち抜かれた。
「うん。めっちゃ美味い」
「なぁ、柔のやつも1口くれへん?」
「いいよ。はい」
俺は舜と同じように自分のフォークでケーキを掬《すく》い、舜の口の前に差し出す。
舜はそれをパクッと食べた途端、目を丸くした。
「ん!うま!」
「柔、めっちゃセンスいいやん!」
「ありがと」
お互いに頼んだものを食べ合うのが、カップルみたいで少し嬉しかった。
頼んだものを全て食べたあと、俺らは駅へと向かって歩き始めた。
「てか、なんで急にカフェ行こって言ったの?」
「ん?あぁ…柔が甘いもの好きって言ったから、折角だし食べに行こーっと思ってん」
「…だめ…やった…?」
少ししょんぼりとした表情で俺の顔を見つめる舜。
「全然?ただ気になっただけで…」
「ほんま!?良かった!」
一気にいつもの笑顔に戻った舜。
本当にコロコロと表情が変わって見ていて面白い。可愛いし。
話をしながら歩いていたらあっという間に駅に着いた。
「舜はどれ乗って帰るの?俺はこっちだけど…」
「俺はあっちやで」
「そっか。じゃあまた明日」
「うん!またな〜!」
俺たちは別れの挨拶をした後、お互いの方向へと向かった。
舜と帰りの電車が違うのは少し残念だったが、駅は一緒なのでまあ良しとする。
それに、今日この1日だけで舜とここまで仲良くなれたのが、とてつもなく嬉しかった。
コメント
1件
第2話、ほっこりしました…!カフェで向かい合ってスイーツを食べ合うの、カップルみたいで照れますね。舜くんの「柔が甘いもの好きって言ったから」の理由、さりげなく覚えててくれるのが尊いです。駅で「まあ良しとする」と自分に言い聞かせる柔くんの心の声に、もっと一緒にいたい気持ちがにじんでいて可愛かったです。みずはさんの描く距離感の詰め方、丁寧で好きです🌷続きが気になります!