蒼と美月が再会してから数週間が過ぎた。二人は互いに過去の思い出やこれまでの出来事を語り合い、再び絆を深めていた。まるで時間が巻き戻されたかのように、二人の間には子どもの頃と同じような温かい空気が流れていた。
ある春の夜、美月は蒼からのメッセージを受け取った。
「今日、少し時間あるかな?大切な場所に連れて行きたい。」
指定された場所に向かうと、そこは公園の片隅にある桜の木の下だった。夜風が心地よく吹き、満開の桜が月明かりに照らされて揺れている。蒼はそこに立ち、美月を待っていた。彼は手に小さな紙袋を持っており、少し緊張した面持ちで美月に微笑みかける。
「来てくれてありがとう。ここは、僕がこの街を離れる前に最後に来た場所なんだ。」
蒼はそう言いながら、紙袋の中から小さな箱を取り出した。その中には、彼が遠い街で手作りした木彫りの星が入っていた。
「これ、ずっと君に渡したかったんだ。僕が向こうで夜空を見ながら作ったものなんだけど、美月にも同じ星を見てほしいと思って。」
美月は思わずその星を手に取り、目を見開いた。その星には、二人の名前が彫られており、その細かい彫刻に蒼の真剣な思いが込められていることが伝わってきた。
「ありがとう、蒼。本当に素敵…」
その時、桜の花びらが風に乗って二人の周りを舞った。美月は少し頬を赤らめながら、蒼の目を見つめる。
「私も、蒼がいなくなったあと、ずっと約束を守りたいと思ってここに来てた。再会できて本当にうれしい。」
二人はその場で桜の夜景を見上げながら、新たな絆を感じ取る。未来ノートに綴る次の夢はまだ未定だが、互いに隣にいられる喜びが胸を満たしていた。
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